2012-01-01から1年間の記事一覧

日銀はギリシャ支店を出して、円クマを発行してはどうか

ギリシャがユーロを離脱したところで、何ひとつ素敵なことなど起きないように思われるのは、ECBは既に限りなく緩和的で、ドラクマを復活させたとしても残念ながら、それは単に預金者から購買力を奪う目的にしかなり得ないだろうからだ。細かな理屈をあれこれ…

高橋洋一氏に影響され日銀法改正を目論む議員の先生方に理解いただきたい3つのポイント

1. データは頼りにならない マクロ経済にしても、債券価格にしても何にしても、過去に何をどうしたらこうなったという「データに基づく」提案を得意気に持ち出す山師は、いつの時代も絶えないものだが、真剣にデータと仮説と戦う者なら誰でも知っているよう…

日露戦争、資金調達の戦い

よく考えてみるまでもなく、沢山の人が従事し、沢山の物資を投じる戦争には金がかかる。しばしば精神や人事のみで語られがちな歴史を、その資金調達側から描いた稀有な本は、しっかりと確認しながら読みたいのに、つい面白いので先を急いでしまう。 日露戦争…

AIJ問題を起点に企業年金について考える

もちろん既に速報性は失われていて、一方で厚生労働省も金融庁も、年金と運用について様々に再検討を重ねている最中だろうが、どこにリスクがあるのか、それを誰が負担しているのか、という例の観点から、この問題について今日は取り上げたい。何が起きたの…

金利は誰が決めるのか

昨日のFOMCでは、少なくとも2014年の終盤まで、短期金利の誘導目標を「異例の低い水準」に据え置くとの声明*1が発表された。いわゆる時間軸政策だが、しかしながら一方で、最近公表されるようになった参加者による金利見通し*2が奇妙なのは、現在と同じ0.25%…

投資家は銀行の株式保有を求めていない

銀行の株式保有は収益を不安定化させるので削減を進めろという下記の日銀レビューが、先週に出ていたのだが、 全く同じ内容のレポートを [twitter:@TrinityNYC] さんが20年前に書かれた*1という。つまり20年もの間、その分量はともかく、我が国銀行の収益リ…

よくある日銀国債引受論の誤解について解説する

すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合においては、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。 財政法第5条 [twitter:@…

経常赤字を考える

という何とも酔狂な会が、桜の膝元で週末に、飲み過ぎながら行われたわけだが、自分の守備範囲をギリギリ外れるようにも感じられたので、時間をかけて、根本から考え直してみた。すると、よく見るフローの恒等式は、特に何も言わないという当たり前の壁に行…

金融緩和の国際的波及と自国経済へのフィードバック効果

「自国の民間経済主体の支出増加を促すというより、グローバル投資家の利回り追求」になってしまうと、白川総裁は先日「積極的な金融政策の効果と限界」について述べた*1わけだが、じゃんじゃん金を借りる民間経済主体なんてのは、多かれ少なかれグローバル…

Twitterフォロワー増加インデックス

あまりセールスを考えないロックンローラーへの憧れもあってか、Twitterのフォロワー数は確認しないことにしているのですが、しかし気にされている割に一般的な情報が少ないようなので、指数をつくってみた。いろいろと調べてみても、どうも便利にデータを落…

ALMの連鎖を手繰ってみる

「資産と負債の総合管理」みたいな概念は、ちっとも新しくないわけだが、「ある一定の前提に基づいて」組み立てられたリスク管理の構造を、しかし全体として眺めてみたとき、おかしな状況になっている場合は少なくない。 政 府 銀 行 家 計 ----+---- ----+-…

財政危機とデフレ脱却のための私案

増え続ける社会保障支出は、財政への懸念を生んでいる状況だが、100兆円の外為特会には財源として活用する余地がある。また長く続くデフレを脱却するために、日本銀行には追加緩和の余地がある。どちらも派生商品を利用する秘策だが、以下に具体的に示したい…

月のウサギになったつもりで、低金利政策を眺めてみる

さっきの続き*1だが、僕らはそれぞれ、限られた時間を過ごす。ひとりひとりを眺めてみると、若いときには誰かの役に立つことが多く、年を取れば誰かの世話になることが多い。ある瞬間を眺めてみると、元気のいい奴が、年寄りや子供の分もつくっている。 低金…

月のウサギになったつもりで、経済活動を眺めてみる

僕らは毎日、物やサービスをつくっていて、僕らは毎日、物やサービスを消費している。それらが手渡されるとき、紙切れやカードを交換しているようにも見えるが、月のウサギとしての僕らには、いまひとつよく見えない。きっといろいろ、何か約束をしている*1…

金融政策は限りなく消極的であれ

先週末に行われたFRB主催会議での白川総裁の講演から、金融危機後の積極的な金融政策の効果と限界について述べる部分を引用したい。 【講演】白川総裁「セントラル・バンキング ―危機前、危機の渦中、危機後―」(FRB) :日本銀行 Bank of Japan http://www.…

アクティブ運用の値段

物やサービスをお客さんに売ったり、作業や能力を会社に売ったりしていると、あらゆる値段は結局のところ需要と供給に晒されているのだと、一部の例外(規制のことだが)に苛立ちながらも、感じざるを得ない機会は多いわけだが、とても市場に近い場所で売ら…

長期金利が上昇すると、誰が困るのか

エルピーダ破綻とAIJ事件 日銀のデフレ・円高が招いた悲劇|高橋洋一の俗論を撃つ!|ダイヤモンド・オンライン http://diamond.jp/articles/-/16477 この数字にはトリックがある。国債残高は600兆円として、もしすべて1年債であったなら、金利が1%とす…

俺達緩和

もう一年も前の、あの地震のあった金曜の深夜、東京都心は車で埋め尽くされ、歩道にも人波が溢れる中をかき分け自宅に辿り着いて、最初に呟いたのは株のことでした。 落ち着いた。金の話で恐縮だが、全力で買う。自分の目一杯リスクを負担してやる。覚悟しと…

バランスシートで考えれば、量的緩和待望論の馬鹿馬鹿しさが分かる

タイトルと図示だけで終わってしまう内容なのだが、なるべく簡潔な説明も加えてみる。日銀は、紙幣を発行して資金調達し、国債を買っている。一方で市中の銀行は、預金を集めて資金調達し、これを貸し出すわけだが、どうにも余ってしまうので国債も買ってい…

フィリップス空間とタイミング戦略

勝手に空間にしてしまったが、例の多次元の奴*1だ。物価や失業率を考える際に、必然的に視野に入ってくる各投資先について、いつでも我々はタイミングを計りたいと考えている。株式は安いときに買いたいし、債券は高いときに売りたい。そういう下心で動かさ…

大切な2つのルール

とある小さな、しかしビッグな会合で、勝手にプレゼンするために作成したメモです。 年金解散 現在の公的年金制度は、生活者として「いくら受け取れるのか、よくわからない」、国債保有者として「財政が耐えられるのか、よくわからない」という不安な状況に…

追加緩和雑感

正直あまり筆が進まない、いやキーボードが心地よく鳴らないわけだが、これだけ中銀関連の記事を書いておきながら、昨日の日銀について触れないわけにはいかないのだろう。しかし「理解」を「目途」や「ゴール」と言い換えてみたところで、アクションによっ…

実質成長の世界

コーウェンは大停滞*1を吹いているようだが、僕らが総じて足踏みするなんて、簡単に可能なはずもないのは、ちょっと周囲を見渡してみれば明らかなことだ。皆それぞれに、目の前のチャレンジに力を発揮してるじゃないか。あるいは一方で「失われた20年」の後…

フィリップス曲面について考える

勝手に曲面にしてしまったが、例の6次元の奴*1だ。物価や失業率を考えるのに、平面で切り取っちゃ駄目だろという話で、しかしこういう手強い相手には、どうしても均衡アプローチを探りたくなってしまう。要するに遠い未来を考えたくなってしまう。もちろん曲…

日銀解散

「お金の量は中央銀行が調節しろ」みたいな素っ頓狂を、さも普遍的な事実であるかのように吹く学校の先生が複数いる(これ*1とかこれ*2とか)事実に驚き、そんなところじゃ何も学べないから俺のところへ来いと言いたくなる気持ちを抑えて、なぜそれが馬鹿馬…

低金利政策の継続がもたらすもの

FRBは少なくとも2014年まで「異例の低金利」を継続するそうだ。会合から持ち出された妙なチャート*1は、政策当局者が自身の未来について予測する、金融政策が内包する奇妙を浮き彫りにした味わい深いシロモノだったが、率直に言えば個人的には、資金需給をナ…

後悔するような投資や消費

「バブルとは何か」について議論するという酔狂な会に参加するに際して、自分なりの見解を持つべく考えた結果、馬鹿みたいだが、表題のようなものになった。後になって「あんなことしなけりゃよかった」と、時点が変われば、判断が変わってしまうような行動…

紙幣を負債と経理する心

下の図を見ていただきたい。明日の生活費を賄うだけの金しか持っておらず、家計は苦しい状況に置かれている中で、日銀は(ほとんどタダみたいなコストで)紙幣を印刷することによって、純資産を生み出すことが可能だと思おう。 日 銀 家 計 ------+------ --…

長期金利上昇時の対応マニュアル

あるいは国債価格下落時と表現した方がキャッチーだったかもしれないが、ともあれ財政破綻だとかハイパーインフレーションだとか、いきなり随分と向こう側を攻める論調ばかりを見かけるので、もうすこし手前のマイルドなところ*1を、そして対応策について簡…