君はFRBを信用するか

と、そんなこと聞かれても、それ一体何の話スカと。なるのが普通だと思うのだが、こと通貨やら中央銀行の話になると、ビットコイン以降に突然貨幣論をぶち上げた酔っ払い起業家から、本格的な所属と肩書きで硬派を装うニャンコ先生まで、揃いも揃って、急に信用だとか信頼だとか信認だとか言い出す。BAAKA。なあ、あんたの言う信用について、もうちょっと説明してみてくれないか。俺がツッコミ入れるからさ。ふわっとしすぎだぜ。


さて、投機屋にとって信用とはシンプルで、貸したカネが返ってくることを指す。で、タイトルに戻るわけだが、FRBに貸したカネは、うん、まず戻ってくるだろう。が、しかし以前と比べて相対的には、彼らの財務はちょっと怪しくなってきたようだと、四半期報告からブルームバーグの報道である。


FRB資産に665億ドルの含み損、トランプ氏が攻撃材料にする恐れ - Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-12/PJMMBW6TTDS201

最新の四半期報告によれば、FRB保有証券の含み損は9月30日の時価基準で665億ドルだった。純資産の391億ドルを大きく上回る事実上の債務超過であり、普通の企業であれば財務の脆弱(ぜいじゃく)性として受け止められるのは間違いない。


いやいやいや、トランプ大統領は知らんけど、そんなもん俺だって攻撃するわ。全米が叫んだっておかしくないだろ、納税者をなめるなと。誰が補填するんだと。で、割とよく耳にするタイプの解説は続く。

当然ながら、FRBは普通の銀行とは異なり、保有資産を時価会計で処理しない。従って当局者らは理論上の損失が持つ意味を重視せず、「特異な非営利機関」として金融政策を運営、もしくは財務省に利益を納付する能力に影響はないと主張する。実際にFRBは今年1−9月、516億ドル以上を財務省に納付した。


いやいやいや、BAAKAも休み休み言いなさいよ。君らが普通の銀行に要求する評価の方法を、自分自身に対して採用しないからといって、実態として財務の問題は生じないと。あのねツッコミどころは一文に一つにしてくれないと、こっちも悩むんですよ。よし、じゃ聞こう。カネを貸す相手が、持ってる資産の自己評価を変えたからといって、以前よりカネが返ってくるとか、返ってこないとか、君は評価を変えるかい。そもそも相手が自称する評価なんて、君はマジで参考にしちゃうのかい。あるいはなるべく参考になるように、普通の銀行に要求してる評価の方法があるんじゃないのかい。その納付にしてもさ、例えばタコ配を出す投信には、君らだってツッコミ入れるわけでしょ。

ケビン・ウォーシュ元FRB理事は「中央銀行債務超過になっても、理論上は問題にならない」と指摘する。「しかし実際には、信頼性というFRB最強の資産が目減りするリスクを冒す」と電子メールでコメントした。


どんだけヘボい理論だよ。その実際には問題になっちゃう理論。この有名な理事さえ、こんなこと恥ずかしげもなく言うんだぜ。だからこそ、いいですか大事なところです、このジャンル未来があるよな。だって、こんなにプリミティブなんだもの。そんなふうに、いつものように思う年の瀬、本格的寒くなってきました。皆さんいかがお過ごしですか。