2010-01-01から1年間の記事一覧

紙幣なんて要らない

その通貨発行益が財政当局を通じて世の中に流れるので、最終的には物価を押し上げる。 【民主党政権下の日本】日銀は数十兆円の量的緩和で円高止まりとデフレ克服を - 政治・社会 - ZAKZAK http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20101222/dms10122…

包括緩和による紙幣リスクプレミアム

どうにも抜いた親不知がズキズキ痛くて、よく眠れないなと思いながら、ついつい布団の中で考えてしまった標記について、メモ代わりに書き残しておこうというアクションです。とはいえ我ながら、相当どうでもいい内容だ。ざっと、軽く、読み飛ばして下さい。…

借金の値段

米国でも日本でも、国債が買われたり売られてたりしている*1が、長期金利は下がったり上がったりしているが、要するに、借金の値段は日々変わっている。その意味*2を、あらためて考えてみたい。あらゆる借金の値段は、大きく分けて2つのコンポーネントから成…

「通貨発行益」と中銀BSの矛盾

通貨発行益とは、貨幣の増加分である。 何をスッ呆けたこと言ってやがるんだと、ピカピカのネームの方々*1,*2,*3に向かって、こんなところからケチをつけてると、奴は狂ってるんじゃないかと皆様に心配されそうだが、そんなもの慣れてるっての。いつものこと…

資金フローはリスクプレミアムに影響を与えることはできない

QE2を巡る様々な議論の中でも、ぶっちぎりに痛快だったのは、WSJに寄稿されたショールズのそれ*1だが、WSJ日本版の翻訳*2は、読んでも意味が理解できないもので、あまりにも残念なので、適宜補足を加えつつ、その前半部分を訳してみたい。「包括緩和」を掲げ…

霧の先に続くバランスシート

Fama-French(1992)*1を読みながら、やはりモジリアニとミラーの子なんだと、なんというか要するに、バランスシートを連想した。通常のそれとはすこし違った、どちらかといえば今風のそれだ。もちろん、こんなやつが通常のそれ。ALB一方で、こいつには載って…

「包括緩和」に関する公開質問状

煮るのか焼くのかハッキリしないようなQE2よりも、「リスクプレミアムを押し潰す」と高らかに宣言した日銀の「包括緩和」の方*1が、よっぽど性質が悪いと思うのだが、強い批判も擁護も、少なくとも自分の視界では、あまり見かけなかった。いつも思うのだが、…

紙幣のない世界の物価と金融政策

想像してみていただきたい。どこに出掛けても、電子マネーやクレジットカードでの支払いを受け付けており、大人数での割り勘すら容易に取り扱える状況を。紙幣は、秋風に吹かれて飛んでいってしまうかもしれないし、誤って洗濯してしまうかもしれない。しか…

資本コストなんて存在しない

WACCなる概念を、ずっと理解できずにいた。その何十年も前に発見された、モジリアニとミラーの帰結に反するように思われたからだ。以前にも似たようなことを書いた*1が、資金調達の手段を変えたところで、その弾を突っ込んでいるビジネスのリスクが変わらな…

「包括的な金融緩和政策」雑感

僕は、白川総裁に期待していたんだ。と、そう感じた。落胆したからだ。 「包括的な金融緩和政策」の実施について(13時38分公表) (PDF, 177KB) http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc10/k101005.pdf 考えてみると、しかし、白川さんだって普段から「金融…

なぜ金利平価は御伽噺に思えるのか

もちろん uncovered の方だが、自分向けのメモなので、乱暴かつドライに書きます。いきなり結論だが、需要と供給が一致する金利に対して、金利平価が成立すると思う。 RUSDnatural - RJPYnatural + E[ΔUSD/JPY] = 0 一方で、それぞれの金融政策は、介入*1に…

アクティブ株式運用のためのポートフォリオ構築(下)

さて、見通しの表現の仕方についても考えてみたい。トヨタに強気のとき、トヨタだけを買い増すのは素直な行動にも思えるが、実はもうすこし検討する余地があると思うのだ。 見通しのポートフォリオ 株式の動向は、程度の差こそあれ、大抵は互いに連動してい…

アクティブ株式運用のためのポートフォリオ構築(上)

「最強のチームをつくるためには、最強の選手を集めてくればよい」 というシンプルな発想は、長嶋巨人の例を挙げるまでもなく、実際のところ、あまりうまくいかない。期待のアイツが怪我をしてしまったり、思わぬチームワークの綻びが出て、当初描いていたよ…

物々交換が進化した世界と金融政策

@flyingLarus そして物々交換して、経済は変化していく。。RT @titanplate: 考えようによっては年金の代わりに米が自宅に届くと、重たい米を買いに行かなくて済むと喜ぶ老人も居そうなもんだが。 http://twitter.com/flyingLarus/status/20304366165 実際の…

政府のバランスシートが抱える金利リスク

さて政府のバランスシートは、時々刻々と変化し続けているわけだが、何らかの環境要因が変化するとき、それに応じて全体の姿がどのように変わるのか、だとすれば事前にどんな行動をとっておくべきかについて検討してみることを、格好つけてALMと呼ぶ。やって…

人生のバランスシートが抱える金利リスク

さて人生のバランスシートは、時々刻々と変化し続けているわけだが、何らかの環境要因が変化するとき、それに応じて全体の姿がどのように変わるのか、だとすれば事前にどんな行動をとっておくべきかについて検討してみることを、格好つけてALMと呼ぶ。やって…

政府のバランスシートを微分してみる

政府のバランスシート 財政にかかる戦略を立てようとするとき、いわゆる普通のバランスシート的な発想は、あまり役に立たない。外貨準備がいくら溜まったとか、道路や施設がどのくらいあるとか、そんな目に見える資産よりも、来年にはどのくらい税収があるか…

人生のバランスシートを微分してみる

人生のバランスシート 人生の財務戦略を立てようとするとき、いわゆる普通のバランスシート的な発想は、あまり役に立たない場合が多い。貯金が何百万円溜まったとか、そのうちどのくらい株を買おうとか、そんな目に見える資産のチャレンジよりも、来年には昇…

ポートフォリオにゼロベータファイナンスを組み入れる

実際に、我々はゼロベータファイナンスを、どれだけ自分のポートフォリオに組み入れたいと思うだろうか。簡単のために、ゼロベータファイナンスと現在のポートフォリオとの間に相関がないと仮定*1しよう。その配分Wzeroは、現在のポートフォリオの配分Wm、そ…

ゼロベータファイナンス

Taejunomics 日本でマイクロファイナンスができない理由 http://stjofonekorea.blog6.fc2.com/blog-entry-1418.html マイクロファイナンスにおいては、この借手探しのコストは地元のコミュニティが負担しているわけです。(よい借手探しは、いつもその人と顔…

道州独自金利の実現に向けて

地域主導型道州制を支える経済システム 各地域が主導する道州制を実現するためには、それぞれが経済的に自立することが必要です。税収の再配分に頼る部分が大きければ、そのことが政治のバランスにも影響を与えてしまう。互いに切磋琢磨する独立した複数の経…

均衡ビジネスユニットを探る

[twitter:@81TJ] さんの「組織における多様性と同質性のバランス」についての記事*1に触発されて、組織と人材、あるいはそのポートフォリオについて考えてみた。それは、以前から常々考えていたビジネス単位のあり方についての問題、我々は合併すべきか否か…

知る自由と動く自由

SECがゴールドマンを訴追した件で、沢山の記事を読んだのだが、ぶっちぎりに面白かったのは結局のところ、当のSECのComplaint*1だった。なんというか関係者の息づかいのようなものすら、そこから感じられる気がしたのだ。なので、えいと頑張って、全文訳して…

マネーのない世界

昨秋にWileyから再版されたブラックの書籍*1から、第一章に収録されている表題の論文のうち、「支払手段の進化」について書かれた部分を、抜粋し訳して*2みたい。余計な解説をつけたくなる気持ちをグッと抑えて、さっさと進めよう。どう考えても、このままの…

死亡率リスクのプレミアム水準を探る

id:actuary_mathさんから、コメントとトラックバックを頂いた。本職の方だ。標準生命表の使用は、業法上は、負債計上の際に求められているのであって、保険料決定の根拠となる必要はないとのこと。もちろん、だからといって低めの死亡率を用いれば、保険契約…

死差益は誰のものか

生命保険用の死亡率は、年金用の死亡率の約1.5倍の水準だ。 何を言っているのか、わからないと思うが、僕にもわからない。が、具体的に言えば、生命保険では、例えば48歳の男性は、1000人に3人が亡くなることになっているのに対し、年金や医療保険の想定では…

宣伝

で、せっかくなので宣伝させて下さい。上記の枠組みを実用に供し、リスク管理を行いたいと考えられる機関投資家の皆様、ご相談をいつでも承っております。

課題

このモデルが明らかにする課題のひとつは、そもそもリスクは主観的で、投資家に固有であることについての取り扱いだ。典型的なものとしては、例えば為替。トヨタ株式を構成するリスクは、我々のように日本に住む投資家と北米に住む投資家とでは、当然変わっ…

APT的なBlack-Litterman

残高は、必ずしもリスクを表現しない。またリスクは、必ずしも残高を伴わない。 リスク推定とリターン予測から、それぞれの投資対象に配分する残高を決めようというのが、マーコヴィッツのポートフォリオ最適化の枠組みだった。また世界中の資金調達の残高と…

最小分散ポートフォリオをカモる財務戦略

「リターン予測など当たらない」という信念は、「インデックス運用に投資しろ」という主張として表現されるのが定番だ。「世界をそのまま買おうぜ」というシンプルな提案は、世界って何だという、実はあまり簡単でない問いさえ一旦横に置いておけば、とても…