2011-01-01から1年間の記事一覧

無リスク金利のつくり方

まず誰かに金を貸す、「このくらいかな」と思う金利を要求する もし返ってこなかったとき、代わりに返してくれる誰かを探して、保証料を渡す 「代わりに返して」くれなかったとき、その代わりに返してくれる誰かを探して、保証料を渡す 以下、同じことの繰り…

年金解散

もちろん公的年金の話だが、そんなことできるわけがないと考えていたのは、単に年金の周囲で、何も考えずに仕事をしていた時間が長かっただけなのかもしれない。先日突然自分の口から、財政の話をしている中で、こんな単語が出てきて驚いたのだが、それから…

最後の貸し手

「ECBは財政ファイナンスに与しない」というメッセージ*1と受け取った北京ダックのような市場は、なんだか昨晩からガァガァと騒がしいが、要するにドラギは、決済を守ることが中銀の使命だと胸を張ったように自分には思われた。富はマネーから生まれてこない…

金利とは何か

[twitter:@fedjapan] さんで、欧州の問題について、(短期)金利の観点から、お話しさせていただいたのですが、家に帰ってきてみると、ドイツ国債の札割れがニュースになっていたり、今の話題に取り組む面白さを改めて感じました。もちろん、見えないこと、…

日銀がデフォルトする日

貨幣の負債性について、いつものことだが、すこし具体的に書いてみたい。文脈によって「内生的」供給と呼ばれたり、あるいは「還流」すると言われる理屈を支えるのは、結局のところ、そいつは中銀(あるいは政府)の借金だという立場である。もちろん借金の…

働きながら、社会を変える。

書評ではありません。著者の慎泰俊さん [twitter:@81TJ] は、この場所で知り合い一緒に勉強*1を続ける、前進する知性を持つ友人です。いま自分が感じることを、ただ書きたいと感じました。 働きながら、社会を変える。――ビジネスパーソン「子どもの貧困」に…

信頼できる預け先

が減っている。何かを生み出して、代わりに受け取る購買力を、貯めておく先の話だ。具体的にいこう。 例えば欧州各国の政府に貸すことに躊躇せざるを得ないのは、ここ最近のコンセンサスだろう。ギリシャもイタリアも、既に随分と割り引かれて、こちらが高利…

円分裂案

ユーロの分裂が望ましくて、円の分裂が望ましくない理由を探そうとしても、国だとか道だとか州だとか、そういう単位を取っ払って理屈を考えるとき、難しいように思われた。なので、円も分裂させよう。 さて、まずは現状から。国債だけじゃなくて、「包括緩和…

ユーロ分裂案

ユーロ分裂案に3000万円 英シンクタンクが公募 - MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/economy/news/111020/fnc11102010060014-n1.htm 「ユーロから脱退する国が出るとの観測は多くあるのに、実際の脱退に伴う問題についての研究はほとんどない」 …

誤解が貯める歪み

金融機関は国債を買い、政府に固定金利で金を貸している。このことに目くじらを立てる方も多いようだ*1が、その主な理由は、金融機関の負債としての金融商品も、固定金利による資金調達だからだ。保険であれ、年金であれ、定期預金であれ、資産と負債とで同…

マネーに求められる機能

貨幣の歴史的な経緯とも、また現在の管理通貨制度の姿とも異なるが、しかしリスクの分業と、そして取引の機能の視点から、マネーの起源を探ってみたい。 最初に想定するのは、最も原始的な金融の姿としての株式を、汎用的なマネーとして用いる世界である。家…

リスクと分業から見たベビーシッター協同組合

[twitter:@proppin72] [twitter:@ultraliberty] らと、「ベビーシッター協同組合」の例えについて話す機会があったのだが、あまりちゃんと読んでいなかったので、あらためて考えてみた。とりあえず、この98年のクルーグマンのコラムを参照しました。 Krugman…

CAPMの別の表現

Black-Littermanのプライヤー、いわゆる均衡期待リターンについて、実はCAPMそのものなわけだが、そのことがパッと見てよくわからないという指摘を複数いただいた。ので、すこし丁寧に書いてみようと思う。算術なので、「なんとなくわかる」方は、特に読む必…

リスク指標としてのTWEET

「ツイッターの空気は株式市場を予測するか?」という論文を、いつもの勉強会*1で読んだのだが、その直接的な結果よりも、様々に発想を刺激されて、とても楽しかった。試行と結果は簡潔に記されていて、とても読みやすいのだが、ツイッターの投稿に読み取れ…

中銀のバランスシートから非伝統的金融政策を鳥瞰する

バーナンキ議長のスピーチ*1は、特に新しいことは何もなかった。今後に無理矢理期待する向きもあるようだが、一部の連中が催促している「緩和」の元手は、言うまでもなく我々が出すわけであって、「バビル2世」で我々が学んだように、ポンプを使って引き出し…

チャレンジの三角形

全国の啓蒙書ライターの皆様には是非パクっていただきたい、ビジネスのリスクにかかる直角三角形について、ご紹介しよう。とてもシンプルで、きっと示唆に富んで、素敵な酒の席と、そして明日を提供するはずだ。あらゆるビジネスのリスクは、1)市場リスクと…

独自のチャレンジ成分

我々のチャレンジはいつも、誰かのそれに似ている部分と、独自のオリジナル成分とに分けられると思うのだが、自分向けのメモなので、乱暴かつドライに書きます。 誰かのそれに似ているリスクには、プレミアムを要求されると思うのがCAPMだが、その大きさは、…

リバランスの考え方

[twitter:@ActiveIndex] さんによる、資産配分のリバランスについて書かれた実証的な記事*1に触発され、その背景にある構造を探りつつ、徒然に書いてみます。投資対象とする資産に対して、あるいはアクティブなリスクでも同じことですが、何らかの「標準的な…

円は死なない

はじめにお断りしておくが、円売り介入と外為特会の政治的意義だとか、債務危機に果たす金融政策の役割だとか、あるいはエマージング債券投資における為替オーバーレイ戦略の話ではない。タイトルから先に考えたことは事実だが、今日の話は、マネーが消滅し…

財政リスク方程式

今日は [twitter:@fedjapan] さんの金融デザインセミナーで、財政についてお話をさせていただくチャンスがあった。財政や国債に密接に関連して仕事をされる、あるいはそれらについて真剣なビューをお持ちの、べらぼうに優秀な方々が集まり緊張したが、その大…

アクティブなリスクの配分問題

アクティブな資産運用リスクへの投資配分を、どのように決めればよいか、という古典的な問いに対しては、要素に分解して考えることで、基本的な道具を持ち出すことが可能だ。 投信1 = 株式 + 超過1 投信2 = 債券 + 超過2 ある投信1は、株式をベンチマークと…

日銀不要論

先週の土曜日に日本金融学会で行われた、日銀の白川総裁による「通貨、国債、中央銀行 ―信認の相互依存性―」と題された講演の全文が、ウェブサイトに掲載された。大変に興味深い内容なので、是非一読されたい。かねてから中央銀行など不要だと、ややトンデモ…

濡れ手に粟な機会は放置されない

色んなことを言うお前の、その奥にある原理を一言で表現しろと昨晩言われて、すこし考えて出てきたのがコレ。正確には「濡れ手で粟」だそうです。自分のためにメモ。 濡れ手で粟な機会が放置されないとき、打ち出の小槌は存在しない。濡れ手で粟な機会が放置…

本末転倒

日銀が自己資本の増強を検討しているという。包括緩和で買ったリスク資産の損失に備えるそうだ。 日銀は昨年10月にデフレ脱却に向けて社債などの買い取りを開始し、東日本大震災後に買い取り規模を拡大した。購入資産の価格が下がれば日銀の損失が膨らむ可能…

微分アプローチ

「公正価値会計の経済的帰結」という日本銀行金融研究所のペーパーを、 [twitter:@fujisakitatsuya] の呟き*1で知ったのだが、触発されて書いてみたい。というのも、某所で会計について講義させていただくことになり、この点について、とても興味を持ってい…

QE2 Disappointment

と題するコラムで、クルーグマンはQE2について、政府と中銀とを連結で見れば、要するに皆が持つ債券が短くなっただけだと言う。 政 府 中 銀 ----+---- ----+---- 資産|国債 国債|紙幣 連 結 ----+---- 資産|紙幣 When you look at it that way, we're talki…

国債か増税か

「復興費用は一時的」と言うが、実際には何年もかかるはずだろう。困っている人々を助けつつ、瓦礫を片付け、どんな町をつくりたいと思うのか、皆に聞き、考え、すこしずつ実行に移していく。そこでつくり出されるものが、世界中の消費者に様々な形で届けら…

時間を分散できるのか(下)

一方で、人生のバランスシートは変化を続ける。月末には、引退までの給与収入がすこし減る分だけ、銀行口座には現預金が増え、その中から住宅ローンを返し、生活費を使い、好きなことを楽しんで、残った一部をリスク資産に振り向ける。自宅はすこしだけ、く…

時間を分散できるのか(上)

コツコツ投資の話だが、いったい何を分散しているのか、実際のところよくわからないのは、毎日株を買い足すのなら、それは普通に考えれば上乗せだからだ。 ■ ■ ■ ■ ■ ■ 昨 今 明 日 日 日 一方で例えば、こんなポートフォリオを、よく分散されていると思える…

半分は自分で貯めろ

震災を機に見つめ直したことがあり、新しいスタートを切るつもりだと友人が言う。同じように、これから何を自分がつくり出そうとするのか、今日も考える方々は、日本中に沢山いらっしゃるはずと思う。その実践のために、なにかひとつでも、リスク屋としての…