ALMの連鎖を手繰ってみる

「資産と負債の総合管理」みたいな概念は、ちっとも新しくないわけだが、「ある一定の前提に基づいて」組み立てられたリスク管理の構造を、しかし全体として眺めてみたとき、おかしな状況になっている場合は少なくない。

  政 府     銀 行     家 計
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税収|国債 国債|         |
              |預金 預金|生活
  企 業       |         |
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利益|借入 貸出|


政府は国債を発行して、要するに借金をするわけだが、返済のスケジュールと金額については、あらかじめ随分先まで決まっている。一方で入ってくる方に関しては、もちろん主に税収だが、来年の額すら現時点ではさっぱりわからない。


企業も例えば、銀行から借金をするわけだが、返済のスケジュールと金額について、あらかじめ決まっている場合は多い。一方で入ってくる方に関しては、もちろん主に利益だが、来年の額すら現時点ではさっぱりわからない。


政府や企業に金を貸す銀行は、その原資として預金を受け入れている。貸した金が返ってくるスケジュールと金額、借りた預金を返すスケジュールと金額について、あまり齟齬が起きないように、常に注意を払っている。ことになっている。


定期預金やら生命保険の形で金を預けている家計が、それらを返してもらうスケジュールと金額については、あらかじめ決まっている。一方で生活のための出費に関しては、来年の額すら現時点ではさっぱりわからない。


おかしいと感じられないだろうか。資産と負債の齟齬がバランスシート主体を連鎖する中で、間に挟まれている金融機関だけが慎重に両者のバランスを考えているわけだが、結局のところ実は全体として輪のような構造になっていて、(来年の額すら現時点ではさっぱりわからない)向こう側は繋がっている。なぜなら税収や企業利益を支えるのは、我々の生活だ。


長期金利が上昇するとき何が起きるのか、スケジュールと金額が決まった約束はどう評価されるか、よく考えてみよう。いま誰が誰をカモっているのか、家計はどんなアクションを起こすべきなのか、見えてくるはずだ。