2011-01-01から1年間の記事一覧

通貨発行ビジネスの包括利益

先日*1すこしだけ触れた「最後の打ち出の小槌」について、図示してみたくなった。含み益やら、もう誰も使わない紙幣やら、日銀バランスシートの底に眠ってる連中のことだ。 資産負債純資産↑これが、こうなる↓資産負債死紙幣*2純資産含み益*3 21世紀だぜ?マ…

今後の円安傾向について説明を試みる

はじめにお断りしておくが、この手のあらゆる「予測」は当たらない。より正確に表現するなら、あらゆるタイムスパンに対して、おおよそ五分五分で当たる。つまり新たな情報を提供することは難しく、言い換えれば、市場は随分と効率的だ。当ブログが、25世紀…

最後の打ち出の小槌

「中央銀行は最後の貸し手たれ」とバジョットは言ったそうだが、財政危機であれ金融危機であれ、それがリスク負担のことを指すのだとすれば、どうしても「含み益経営」を想い起こさざるを得ない。資産も負債もスッ呆けた評価をする会計は、張子の虎の逆で、…

中央銀行の信用リスク - 通貨の信認はどのように失われるか

地震と、津波と、原発のことが、頭に絡みついている。NHKばかりを目が追ってしまい、本も読めなければ、それ以外のニュースすら、なかなか自分の中に入ってこない。25世紀のエネルギーとビジネスと行政をリスクの言葉で考え、しかしあまりにも難しくて、さっ…

原発チャレンジ

なるべくシンプルに書こうと思うのだが、ある原発が来年までに大きな事故を、B)起こさないと賭けた馬券*1は、最後は必ず誰かが負担しなければならないリスクを負担しており、それゆえプレミアムが返される。言い換えれば、それは世界のチャレンジの全体とし…

原発ギャンブル

不謹慎は承知の上だが、我々はでっかいギャンブルに負けた。原子力発電所は、主に地震と津波を原因に、事故を起こすことになった。これが大きな負けなのかどうか、よくわからない。「高効率に」電気をつくり出しているのだから、長い目で見れば勝っているの…

復興資金は「あげる」か「貸す」のどちらかだ

または両者の組み合わせになる。ほとんど自明のことだが、すこし落ち着くためにも、よく採り上げられる手法の構造を確認しておきたい。「あげる」と「貸す」は、どんな特徴を持ち、どんなふうに組み合わされるのか。すこし乱暴なくらいがいい。大切なのは、…

「日本復興」

この言葉を、あちこちの見出しに躍らせたい。もちろん、そんなものは時間の問題で、いずれ東北の太平洋岸をひとつの中心として、僕らは新しい世界をつくり上げるプロセスに突入する。いや、既に突入している。そのとき報道が、最高にエキサイティングな現場…

現場ビューの総合計としての世界

こうして雑文を垂れ流し始めてから、既に二年もの月日が経過している*1ことに自分でも驚くのだが、「ご縁をいただいた」と表現すべきか、やはりネットで書かれる、それぞれの現場の最先端の方々にお会いして、一杯を交換するチャンスを持つことができた。 至…

投資の消費性について

昨日の記事を広めていただきました皆様、ありがとうございました。背中を押していただいた [twitter:@kenchamam] にも深く感謝します。すべてのチャレンジャーを、ほんのすこしだけ、助けたと信じています。大変な一日は夕刻を迎えつつありますが、暮らしも…

資金調達市場

株式市場が資金調達の市場であること*1は、教科書に書かれているにもかかわらず、実際に数多く実行されているにもかかわらず、ほとんどあまり理解されていない金融の不思議のひとつだ。いま一度強調しておこう。チャレンジの志はあるものの、そのリスクを負…

非伝統的金融政策が財政政策とは根本的に異なるたったひとつの理由

タイトルだけキャッチー風にしてみたところで、この手の与太話が興味を集めるとも思えないのだが、要するに財布が違う。いつものように極端な例で考えてみよう。程度はあとで、好きに調整すればよい。 政府が「穴を掘って埋める」100兆円の公共事業を実施す…

実質金利均等化のメカニズム

意志を疎通できる若干の英語コミュニケーションスキルがあれば、このような超格安で高品質な世界中のサービスを、個人が誰でも迅速に利用できる時代になったのだ、ということを実感しました。 http://blogs.itmedia.co.jp/mm21/2011/02/post-3ab9.html 写真…

ETF決済

さて、全自動マネー*1の世界では、どうしても自分の預金口座と株式*2との間で、ちょこちょこと取引が発生することになる。なんやかんや理由をつけて、銀行には高い手数料を取られそうだ。例えば派手ネクタイの営業に乗せられて、麗しのスポーツカーを買って…

全自動マネー

ご飯を食べたり、家賃を払ったり、また住宅ローンを返した後に、使わずに残った給料は、そのまま銀行の普通口座に放っておいたり、また定期預金に預けてみたり、あるいは株式や投資信託を買ってみたり、するかもしれない。その余裕の如何によっては、夏休み…

スタグフレーションをヘッジする商品通貨

メーリングが先週、コモディティのバブルが発生する構造について、明瞭かつ簡潔なポストを投じていたので、抜粋して訳してみたい。元記事では、グラハムの商品通貨構想*1が参照されているが、それは既に実際に起きているという指摘だ。 Let us accept that t…

日銀券の受け取りを拒否できる世界

日本銀行が発行するお札は、法貨として強制通用力が付与されており、公私一切の取引において無制限に受け取ってもらえます(日本銀行法第46条)。 http://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/money/05100003.htm/ こんなもの要らない。そもそも…

戦略的に目一杯の住宅ローンを組む

「35年の住宅ローンを組んで家を買うのは、政府と銀行と不動産屋に騙されてるお人好しの馬鹿だ」みたいな論調は、いつでも人気があるよう*1なのだが、資産も負債も同時に変化する、人生のバランスシート*2の一大イベントが、そんなに単純な話であるはずもな…

平成21年度「国の財務書類」

昨日は偉そうに、鳥から目線を投げてしまったのですが、財務省さん、ごめんなさい。つい数日前ですよね、最新のものを出されていたのですね。50兆円ほど、状況は悪化したそうですね。 平成21年度 国の財務書類:財務省 http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/f…

政府のバランスシートを鳥瞰する

表題のような内容について、昨日お話しする機会があったのだが、S&P社による間接的なバックアップ*1もあって、エキサイティングなものになって嬉しかった。で、概要をまとめておこうと思う。話が財政の問題ともなれば、その土俵がマーケットだろうがアカデミ…

25世紀の貨幣数量方程式

馬鹿馬鹿しい*1ので、この「貨幣数量方程式」について触れるべきことなど、たったひとつもないと思っていたのだが、しかし、表題のように考えてみたとき、いくつかの鱗が、ポロポロと腑に落ちた。ちょっと聞いて下さい。 MV = PY 通り一遍の説明をするなら、…

金融政策の国際不均衡

ゼロ金利制約に当たっていることは、さほど悪くない状況であるようにも思った。雪降る高速道路を運転中にだ。もちろん時間の値段が安いことは、我々が機会を上手に活かせていない可能性を示唆しているわけで、そのことが素敵だと主張したいわけではない。端…

アクティブ運用のリスクプレミアム

21世紀にもなって、「アクティブ運用は平均的にはインデックスを下回るから、おすすめできない」などと、ドヤ顔で主張する専門家があちこちに沢山いるのは、実に残念なことだ。実際のところ、どうしようもないアクティブ運用が多数存在することは確かだが、…

付利された当座預金は「マネタリーベース」に数えられるべきか

マネタリーベースとは、「日本銀行が供給する通貨」のことです。具体的には、市中に出回っているお金である流通現金(「日本銀行券発行高」+「貨幣流通高」)と「日銀当座預金」の合計値です。 http://www.boj.or.jp/type/exp/stat/exbase.htm もちろん、そ…

フラートン「通貨論」を読む

手元の岩波文庫第二刷は昭和十八年、オリジナルは1845年、フラートン「通貨論」をアマゾンで衝動クリックし、夢中になって読んだ年末年始でした。150年以上も前の、決済も貸借も、銀行制度も投資環境も、今とは全く違う時代の迫力ある議論に圧倒されます。余…