実質金利均等化のメカニズム

意志を疎通できる若干の英語コミュニケーションスキルがあれば、このような超格安で高品質な世界中のサービスを、個人が誰でも迅速に利用できる時代になったのだ、ということを実感しました。

http://blogs.itmedia.co.jp/mm21/2011/02/post-3ab9.html


写真のレタッチをセルビアの画家に注文したという話なのだが、反射的に実質金利の均等化を連想した。で、今日歯医者で治療を受けている最中に、とてもつらかったので気を紛らわせようと、そのメカニズムを説明するための整理を始めたのだが、あまりにもつらかったのであっさり結論が出た。なぜか自分を急かしてしまったのだ。


金利とは時間の値段のことだが、これを物価で割り戻せば、実質金利とは要するに、時間の価値のこと*1だ。同語反復だが、貴重であるほど高い。ぼけっとしていることの機会損失が、とても大きい状況だ。一方で、皆がぼけっとしていれば、時間の価値は低い。


実際の実質金利は、時間の価値は、通貨によってその水準が異なる。なぜ通貨で区分されるのかと疑問に思われるかもしれないが、貸借を中央銀行の負債で計るシステムがポピュラーだからなのだが、今日はこの点にはあまり立ち入りたくないので、また別の日にしよう。また最近は、わけのわからない金融政策や、それらに反応する商品価格のせいで、実質金利の水準に違和感のある通貨も少なくないが、今日はこの点にはあまり立ち入りたくないので、また別の日にしよう。皆が時間を無駄にしない場所では、実質金利は高い。はずだ。皆がぼけっとしている場所では、実質金利は低い。はずだ。そんな世界を想い描いてほしい。


で、やっと冒頭の例示に戻るのだが、仕事の発注がインターネットによって空間を飛び越えるとき、時間の価値は互いに近づくに決まってるじゃないか。


皆が活き活きと、誰かが欲するものを探して、精力的につくり出す地域では、当然のことながら、借り入れる実質金利も高い。このとき遠隔地で同じ内容の仕事を受けられるのなら、ぼけっとした地域に住むヤル気も技術もある孤高の職人にとって、活き活き軍団から仕事を奪うチャンスだ。そのための資金を、低い実質金利で借り入れることができるのだから。皆がぼけっとしている通貨にとって、こうして資金需要が生まれれば、実質金利を押し上げる圧力になる。皆が活き活きしている通貨にとっては、ウチで借りてよと、実質金利を押し下げる圧力になる。


おわり。歯の治療のように手を使う技術は、なかなか地域を跨ぎにくいよなと思ったら、あっという間に意識が戻ってしまった。あとは耐えるしかない。あんぐりと口を開けたまま。