原発チャレンジ

なるべくシンプルに書こうと思うのだが、ある原発が来年までに大きな事故を、B)起こさないと賭けた馬券*1は、最後は必ず誰かが負担しなければならないリスクを負担しており、それゆえプレミアムが返される。言い換えれば、それは世界のチャレンジの全体としての「市場ポートフォリオ」の一部を構成するはずだ。


原発リスクの負担は、その大きさや、他のリスク負担との関係を考慮しながら、それぞれの投資家のポートフォリオに組み込まれる。要するに、株も買えば、また債券も買う投資家は、それらのリスクとの配分バランスを考えつつ、また自分に固有の事情も考えつつ、原発券を買うわけだ。


原発券に資金が流入し、その見返りオッズが縮小するとき、そのことは電力会社のリスクヘッジを助けることになる。より小さなプレミアムで、事故を起こした際の損害を賄うことができるからだ。もちろん、原発ビジネスを推進させる。他方で、原発券から資金が流出し、その見返りオッズが拡大するとき、そのことは電力会社のリスクヘッジを難しくすることになる。事故を起こした際の損害を賄うために、より大きなプレミアムを支払う必要が出てくるからだ。もちろん、原発ビジネスにブレーキをかける。


いくつかの既存の似た仕組みと対比するコメントを頂いたのだが、この自由が素敵なのは、誰もが賭けに参加することによって、皆の原発への見通しが表現されることだ。世界のチャレンジの全体に占める原発のそれが、見える化されることだ。そして僕らがそれを、コントロールしている。

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