国際分散ポートフォリオの為替リスク

例えば為替ヘッジして米国株を100万円買う場合と、為替ヘッジせず米国株を100万円買う場合と、どちらも突っ込むのは同じ100万円であって、前者から後者に乗り換えて追加的に米ドルのエクスポージャを得ようとするとき、追加的に円の残高は要求されない。当た…

ごく少数の異端

【記者会見】原田審議委員(長野、10月12日) [PDF 247KB] http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2016/kk1610b.pdf それから、リフレ派は量を重視するのだから量を重視しないような政策には反対すべきだ、というご質問についてです。まず、リフ…

中央銀行がリスク証券を抱えたマクロ経済学

中央銀行の財務について、あまり多いとは言えないものの、このところチラホラ記事を見かけるようになった。「カネを刷れ」みたいな文脈では、ほとんど触れられなかった(あるいは表現が異なっていた)点について、債券や株式を買うプログラムの中で意識され…

棚から一掴み

はてなダイアリーのポイントが溜まっていたことに、「使わないと消しちゃいますよ」という通知で気づいて、有料版にしてみました。とはいえ大して変わらなくて、おそらく広告の表示が違って見えるかと思うのですが、書き手からすると、どうもアフィリエイト…

取引の自由が増すほど、価格操作は難しくなる

という宇宙の法則の話なのだが、結論だけ書くと素っ気ない感じだ。例えばパンの価格を吊り上げようと思えば、全部を買い占めてしまえば、新たに焼いて売る方は、なかなか追いかけるのは大変だ。他方で、原油の価格を押し下げようと思えば、あるいは単に高い…

総括会合雑感

書かない宣言を翻して、本日会合のメモ書き。 金融緩和強化のための新しい枠組み:「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」 [PDF 270KB] http://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/k160921a.pdf いまの状況なら、長いとこゼロ位を目標にしとけば、買…

均衡イールドカーブから一般均衡へ

アンパンでもフランスパンでも、それなりに商いはあるわけで、2年債でも10年債でも、それなりに商いはあるわけで、材料に共通するところがあったり、期間に共通するところがあったりするわけだが、いずれにせよ放っておいても値段は付くわけだ。 もちろん我…

富と幸せを交換する取引

「富が一定である閉鎖的なマーケットの中で、平等に富を持ったプレイヤーに対し、ランダムに得する人と損する人を決めていき、ある一定のステップを踏んだ結果、少数の金持ちと、多数の貧民の格差に分かれることになる」という興味深い話を下記ブログで知っ…

自然利子率

大抵いつでもパンを売りたい人も買いたい人もいて、農水省が放っておいても、パンには値段がつく。自然なことだ。 大抵いつでもカネを借りたい人も貸したい人もいて、日銀が放っておいても、貸借には金利がつく。自然なことだ。 自然な値段と言われれば、こ…

信用から見たインフレ目標

信用スプレッドみたいな単語を持ち出すと、それだけでブラウザを閉じてしまう方も多いと思うのだが、その「返してくれるのか、よくわからない分だけ利息を多く寄こせ」の概念を中心に、中央銀行によるインフレ目標について説明してみたい。ちょっと聞いたこ…

マッチポンプ宣言 - カンザスシティ連邦準備銀行主催シンポジウム

ジャクソンホールの日銀総裁講演が出たのだが、内容は半分本人で半分裏方なのだろうが、チラっと目を通すだけでも、なんというかガッカリする。いつものことなのだが。とりあえず徒然に突っ込みを入れてみようと思うのだが、ちょっとネガティブな感じの文章…

非伝統的金融政策の新展開

ポリシーミックスは政府も頑張ってアコードみたいな、民主党と白川日銀みたいなこと誰も彼もが言い出して、トンチンカンな財政とか一体何十年やってると思ってんだと、社会としての記憶力の欠如を再確認せざるを得ない最近だが、当然のことながら金融政策に…

リバランス頻度とドルコスト平均法

ボートフォリオの、いわゆるリバランスの頻度を変えてテストしてみたところ、細かく実行するほどパフォーマンスが弱かったという話を伺って、「もしかして上げ相場で試しませんでしたか」と反射的に出てきてしまった。「一本調子の相場」と表現した方が、す…

タックスヘイブンの使い方

知ったふうな解説にウンザリしてたタックスヘイブン、出ました決定版。これだよ。これが教科書だよ。 浅川元社長 告白の一問一答「株価操作 言うとまずいけど」 | NHKニュース http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160728/k10010612431000.html 元社長:これ…

流動性とソルベンシーあるいはタダ飯について雑文

資金繰りと財務は別の概念であって、例えば相続税を払うために、家を売却せざるを得ないが釣りは残るケースもあれば、例えば我が国の現在のように、貸し手が殺到しつつも将来について心配されるケースもある。両者を意図的に混同させた「お金がない」を、し…

ヌルいヘリマネと本チャンのヘリマネ

比較的最近のことだと思うのだが、ヌルいヘリマネが「俺が本流」みたいな顔して歩いているのが気に食わない。 ヌルいヘリマネ 日銀に国債を買わせて資金調達し、例えば道路をこしらえるわけだ。 政 府 日 銀 ------+------ ------+------ 道路 | 国債 国債 |…

永久債の値段

この記事は、要するにア本田氏がフカしてるのだろうが、見出しに「永久国債」の文字はインパクトがあった。わざわざ「市場性のない」と謳う以上、必ずしも適正でない価格で日銀に渡すことを意図しているとも読めるわけで、2009年の「政府紙幣及び無利子国債…

金融緩和で成長

するわけねえだろ馬鹿野郎。とネタにしておいて恐縮だが、馬鹿馬鹿しいので、最近の日銀は読んでいません。 さて、すこし単純化しよう。もちろん後で、元に戻しながら、現状について考えることも大切だ。 A国は金融緩和し、要らない不動産に突っ込んだり、B…

戦争で成長

するわけねえだろタコ野郎。とネタにしておいて恐縮だが、馬鹿馬鹿しいので、下記は読んでいません。 資本主義は、もう「戦争」でしか成長できない | 国内経済 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準 http://toyokeizai.net/articles/-/125090 さて、す…

GPIF運用資産別の構成割合推移

運用状況 | 年金積立金管理運用独立行政法人 http://www.gpif.go.jp/operation/state/ 配分 2013年6末 2013年9末 2013年12末 2014年3末 2014年6末 2014年9末 2014年12末 2015年3末 2015年6末 2015年9末 2015年12末 国内債券 59.87% 58.03% 55.22% 55.43% 53.…

ジェンセン再訪 - 目標ベータを用いた運用評価

シャープ、トレイナー、ジェンセンと、立て続けに偉人が登場して、運用評価について解説される中で、実際に現場で見かける指標はシャープのみである。理由はおそらくシンプルで、要するにベータはノイジーで、わかりにくい。つまり顧客と共有できない。ある…

いつ長期金利は上昇するのか

財政危機の話だが、一番デカい部分を探せば、要するに借金して年金を払っているわけだ。一方で払われた年金は、金融機関を通じて国債を買う。つまりグルっと調和していて、しばしば指摘されるような「お金が足りない」状況に陥る理由は、ここには見つからな…

自由民主党日本国憲法改正草案前文

日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴く国家であって、国民主権の下、立法、行政及び司法の三権分立に基づいて統治される。 我が国は、先の大戦による荒廃や幾多の大災害を乗り越えて発展し、今や国際社会において重要な地位…

ETF、日本銀行、議決権行使

日銀が今よりも極端に、ETFを買いまくっている状況を想像しよう。まったく不可能じゃないのは、例えば紙幣を印刷して突っ込めばよいだけだ。もちろん今日は、世界中で回覧された昨日のブルームバーグ記事に触発されて書いている。 ETF爆買いの果て、日銀…

岩田規久男日本銀行副総裁を更迭せよ

【講演】岩田副総裁「『量的・質的金融緩和』のトランスミッション・メカニズム」(京都) :日本銀行 Bank of Japan https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/ko130828a.htm/ 第190回国会 財務金融委員会 第5号(平成28年2月23日(火曜日)) …

どこの蕎麦屋だよ

【黒田日銀総裁】「2%物価目標、達成は2014年度終盤か15年度初頭の可能性」#fx— 楽天FX (@rakuten_fx) November 25, 2013【黒田日銀総裁】「15年度中心とする期間に物価上昇率2%に達する可能性が高いという見通しに変化はない」「達成時期は、昨年の展…

バフェットロボ対バフェット - 人工知能との戦い

人工知能が囲碁のチャンピオンを破ったというニュースを見かけて、そこで株式市場を引き合いに出すコメントを見かけて、何か書こうかと思ったのだが、特に新しいことが見つからない。そもそもチェスや将棋における計算機の活躍だって、特に最近の話ではない…

マイナス金利の理論的限界

黒田総裁は国会で「理論的にはマイナス0.5%まで金利を引き下げる余地がある」などと答弁したそうだが、マイナス金利を巡っては、けっこうな肩書のセンセイ方も相当にトンチンカンな見解やら解説を投げ合っていて、実に味わい深いわけだが、ここでスカッとし…

なぜあの銘柄を買ったか

5年前、地震のあった翌週には、株買いの号砲*1を鳴らし続ける中で、報道を睨み続けながら、東京電力の注文を入れていました。その理由は、よく自分でも整理できていなかったのですが、おそらく要するに、当事者になりたかった。 東京電力、頑張ってくれ。今…

頑健なシステム

「今度ビールおごる」アプリ*1は、遊んでいるうちに、だんだんと貸借のイメージに繋がるように、意識してつくりました。他方で、一般に、決済には例外なく強い安全が求められます。遊びとはいえ、本来素人の手に負えるものではないはずです。 ところが、ここ…