いつ長期金利は上昇するのか

財政危機の話だが、一番デカい部分を探せば、要するに借金して年金を払っているわけだ。一方で払われた年金は、金融機関を通じて国債を買う。つまりグルっと調和していて、しばしば指摘されるような「お金が足りない」状況に陥る理由は、ここには見つからない。


とはいえ構造が頑健とは全く言えないのは、払われた年金が、政府にカネを貸し続ける理由は特にない。我々から見れば、金融商品は速やかに解約することが可能で、例えばゴールドや外国資産に突っ込む選択肢は、常に持っている。はずだ。


目先だけ見れば、解約を予期しない呑気な金融機関は長期債を買い、残りの預金部分さえ今度は日銀が長期債を買うために、長期金利は下限の床を押し続けてヘコんでいる。もちろん同時に、ある種の金融商品の解約ペナルティは厚く、長く続いた平和によるボケも手伝って、我々は簡単には行動を変えないだろう。


つまり国債の暴騰は、もちろん財政への信認を特に意味しない。単に構造と経緯が価格を支えている。財政を憂う声も耳にするが、どうせ切迫しなきゃ対処なんてする気にならないのだから、無駄な支出を心配するのなら、貸し手が代替的な選択肢を採りやすい環境の整備がよかろう。


具体的に言えば、金融商品の解約ペナルティ適正化と、デュレーション再評価を促すことが挙げられるだろう。いつでも解約できる商品の負債は短く、したがって長い債券を買う理由は小さい。そうして長期債を巡る綱引きがフェアに近づくほど、だんだんと価格は財政を表現する。ようになる。