頑健なシステム

「今度ビールおごる」アプリ*1は、遊んでいるうちに、だんだんと貸借のイメージに繋がるように、意識してつくりました。他方で、一般に、決済には例外なく強い安全が求められます。遊びとはいえ、本来素人の手に負えるものではないはずです。


ところが、ここでは問題は自然に、柔らかく回避されています。例えば僕が [twitter:@misssaxbys] に、今度一杯のビールをおごるはずだったものが、悪意によって100杯に改ざんされてしまったとします。それでも、このとき僕と [twitter:@misssaxbys] とで「違ったよね」と、互いに確認できればいいだけです。


言い換えれば、現代の決済に強い安全が求められるのは、貸借の相手方が匿名だったり、また間に第三者を挟んだりするからです。負債としての紙幣は無記名で、日銀からは、譲渡が確認できません。負債としての預金は名義を持ちますが、銀行からは、複数の相手先の関係を確認できません。


一体なぜ、そんな設計になったのか。理由はシンプルで、かつて記録や集計は面倒だったからです。で、そのまま現在に至っている。金融には、そうした歴史的経緯にかかる不合理が、まだまだ沢山あります。「フィンテック」に求められるのは、技術が何を克服するのか、その視点だと感じています。