非伝統的金融政策の新展開

ポリシーミックスは政府も頑張ってアコードみたいな、民主党と白川日銀みたいなこと誰も彼もが言い出して、トンチンカンな財政とか一体何十年やってると思ってんだと、社会としての記憶力の欠如を再確認せざるを得ない最近だが、当然のことながら金融政策にできることは残っている。当ブログは、どこかで聞いたような話をスマートにまとめるみたいな仕事には全く興味がないので、モダンな視点から、残る金融政策の可能性について改めて考えてみたいと思う。奇跡の逆転を願う黒田日銀と中の人には、参考にしていただければ嬉しい。


さて金利を誘導する伝統的な金融政策は、要するに無リスク金利への介入だ。ここがゼロに潰れてしまい自然な拡張として、しかし世界で初めて「リスクプレミアムを押し潰す」と高らかに宣言した中銀総裁は元野球少年だったそうだ*1が、ともあれ更に、この道を進んでみよう。徒然にいくぞ。

信用保証

最初に思いつくのは、すべての融資を日銀が保証するプログラムである。現在も、成長がどうしたとか細かいアレコレを実行していたり*2するわけだが、大規模に広範に風呂敷を拡張して、末端まで支援しちゃう。商店街の八百屋にも、酔っ払いのおっさんにも貸しちゃう。現実味がないとか、ノウハウを持ってないとか、ガタガタ言うやつも出てくるかもしれないが、なんなら保証協会*3と一体化しちゃえばいいじゃないか。そうすれば現場の声に耳を傾けつつ、現状から更に融資を伸ばす骨太のプログラムを、無理なく直接に実現することが可能である。本物のアコードである。

PER目標

ETF購入は、元々無理のあった225の問題*4を顕在化させたり、その過剰な存在感が日々の取引の活況に影響を与えたり、要するに困ったところまで来てしまった。買っている割には株が上がらないと分析を始める奴も現れて、取引の「法則」やフロントランナーに光が当たれば、国会での説明だって面倒になりそうである。ならばいっそのこと、「TOPIXの予想PERを20倍にする」と、目標とする株価の水準を定めてはどうか。その方が無駄金を使わない可能性は十分にあるだろうし、リスクプレミアムの代理変数として益回り*5は、完璧とは言えないかもしれないが明快だし、インフレ目標やらGDP目標やら*6とも、看板として並べやすい(ような気がする)。

ヘッジ支援

一部の金融機関は、国債の価格と品薄に困って、あちこちに代替先を探し回っている状況だが、そうしてカネを突っ込む先のリスクについて、ヘッジを日銀が請け負ってはどうか。例えば地銀が米国債を買うのなら、為替とカーブのリスクは日銀が貰い、地銀には安全なリターンに加えて、ちょっと色を付けて返す。あらゆる投資先に、この支援プログラムを実践することで、金融機関は考えなくて済むわけだし、日銀はBSを使わずに様々なロングのエクスポージャを確保できる。もちろん各種グローバル金融規制については、日銀から積極的に「大丈夫ですよ、これリスクは実際のところウチですから」と、緩和を働きかける。まずはカーニーに電話である。


さて実際の融資や、株式市場や、スワップ取引を想像いただければ、すぐに感じられると思うが、無論どれもこれもロクなもんじゃない。が、どれもこれも実効的である。どうですか日銀の中の皆さん、いつでもご相談承ります。え、マイナス金利?更に阿呆な値段で国債を買うことは、もちろん技術的には可能なわけだが、そんなの既に手垢もケチも付いてるわけで、何より見出しですよ見出し。派手にやれって話である。