2013-01-01から1年間の記事一覧

FOLIO

入ってくるお金を左側に書く、出ていくお金を右側に書く、たったこれだけのシンプルな道具は、既に何を見るときにも手放せない眼鏡のようなものです。そんなふうに暮らしを見つめるメディアを、敏腕編集長 [twitter:@call_me_nots] がスタートさせました。 F…

壮大な花見酒

どうにも何も書く気が起きないのだが、頑張って今日の金融政策決定会合について、メモしておきたい。文字通り、黒田日銀は異次元だった。長期債を二倍買う、その長さも二倍、リスクは掛け算で四倍だ。もちろん、株だって不動産だって二倍買う。そりゃ俺たち…

シーゲルのパラドックスを実証する

さて米ドルと日本円の交換レートは、ほぼ3年前の水準に戻ったわけだが、この間、米ドルのエクスポージャを抱えていた日本の投資家も、日本円のエクスポージャを抱えていた米国の投資家も、どちらも利益を得た。 為替レート変化率半期USD/JPYJPY/USDUSD/JPYJP…

包括緩和を振り返る

要因分析と投資行動

トヨタの株が上がると思い、いくらか買っておいたとする。ところが実際には見込みは外れて、ドーンと下がってしまった。負けてしまった分は、買った金額と下落率との掛け算だと思うと、勝負の大きさとしての買った金額が大きいほど、あるいは見込みから外れ…

保険が博打でない理由

「保険は、自分の災難について賭けた博打である」 などという言説を、知的かつ幸せそうな方々から聞くことが多いが、まったく同意できないので、簡単にメモしておきたい。 保険会社から見れば、あなたが死のうが生きようが、事故が起きようが病気が治ろうが…

住宅購入を整理する

そもそも賃貸だろうが持家だろうが、生活する場所のコストは、いずれにせよ未来に向かって常に発生している。人生のバランスシート*1の考え方に従って、将来の支出は負債だと思おう。 資 産 負 債 --------+-------- |家賃支払 住宅ローンを借りて不動産を買…

「物価の安定」を再定義する

何かと騒がしい外野の間だけでなく、先月の金融政策決定会合の議事要旨*1の中でも、その「目標」が示されたこともあってか、「物価の安定」について大いに議論が行われた様子が伺える。が、ゴチャゴチャしていて、率直に言って捉えどころがない。何を言って…

母平均の検定 - あなたのポートフォリオは付加価値を生み出しているか

日頃から月次で記録していた、過去二年間の運用成績を確認したところ、平均は年率で5%、標準偏差は18%だった。有意に付加価値を生み出したと言えるだろうか。やや乱暴だが、どうにも空中戦ばかり見かける統計ブームを横目に、検定の枠組みに乗せて、すこし遊…

無料で読める最高の金融政策講義七選

日本銀行の白川総裁が、二人の副総裁の任期満了に合わせて、つまり新しい体制のスタートを向いた形で、三月に辞任する。特に最近は、政府から強い批判を浴びる中で、日本および世界経済の現状と金融政策について、丹念な説明を繰り返していた。その内容は、…

マネタリーベース狂騒曲

日銀の次期総裁候補に挙げられる複数の先生方が、いわゆる量的緩和を主張されている。マネタリーベースを、日銀のバランスシートのサイズを拡大しろという、教科書にすら書かれている実に虚しい政策だが、当ブログでは馬鹿にしている。バーカ。もちろん「量…

財政破綻が起きていない秘密

平成23年度「国の財務書類」が昨日発表された。すこし戸惑ってしまったのは、僕の記憶が正しければ、平成22年度の同じ資料が揃ったのは昨年6月だったはずで、半年ほども早期化されたことになる。そしてhtmlのテーブルにまとめられた「貸借対照表の概要」*1も…

均衡預金保険料

預金保険制度は、考えるほど、預金者を救うためにあるのか、銀行の株主を救うためにあるのか、わからなくなってしまうのは、結局のところ、預金者が負担するリスクと、銀行の株主が負担するリスクと、そのどちらでもないリスクと、区分けされていないことに…

小さな日銀への道のり

この大きな会合には注目して、感じたことを書き残そうと事前には考えていたのだが、なんだか紙切れ群を最後まで読み切ることすら難しい。大雑把には、政府が頑張って成長力を強化するから2%を目標にして、2014年は毎月2兆円の国債を買うのだそうだ。ふうんと…

増益を伴わない株高

現在がそうなってるとか、米国がそうなってるとか、そういう話ではなく、金融政策や景気対策の議論の中で扱われる株式や不動産の価格に、しばしばリスクプレミアムの概念が希薄な場合が見られること(に対する懸念)が、今日の記事の動機である。日銀がETFを…

金融政策のトリレンマ

準備預金の付利引き下げ マネタリーベースの積み増し 金融市場の健全な発展 を同時に達成することは不可能。1)準備預金の付利引き下げを実行しようとすれば、金融機関は中銀を経由せず、直接国債を保有せざるを得ない。 2)マネタリーベースの積み増しを実行…

インフレ目標不要論

ここのところ市場が面白くて、つい情報をサーフィンする日々を送ってしまったが、そろそろ決定会合に向けて何か書いておこうと、あけましておめでとうございます。一部で熱狂的に続投が期待される白川総裁は、消費者物価上昇率が2%以下のプラスの領域を物価…