小さな日銀への道のり

この大きな会合には注目して、感じたことを書き残そうと事前には考えていたのだが、なんだか紙切れ群を最後まで読み切ることすら難しい。大雑把には、政府が頑張って成長力を強化するから2%を目標にして、2014年は毎月2兆円の国債を買うのだそうだ。ふうんと思った。自分には読み取ることのできない、細かな仕掛けも数多く隠れていそうだが、あまり興味が湧かない。


「物価安定の目標」と「期限を定めない資産買入れ方式」の導入について(12時47分公表) [PDF 281KB]
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130122a.pdf


たぶん、これで大体いいのだと思う。そもそも金融緩和が何を意味するのか、そんなの簡単じゃない。政治家も国民も、よくわからない。ほぼ唯一の当事者たる認可法人スペシャリスト達が、毎日唸って考えて、それなりの政策をつくってトライする。こういうものなんだ。白川さんは、不思議な経緯で総裁に選ばれ、また不思議な経緯で政治に巻き込まれ、そして不思議な経緯で、おそらく日銀を去る。こんなもんだ。例によって、物価上昇率だけ見ていても、別のところでバブルが起きたりすると困るので、そこは点検するそうだ。そりゃそうだ。一方で彼は、細かな表現は忘れたが、需要が高まるにつれ、金融緩和の効果は高まるだろうとも言っていた。どっちなんだと思う。資金需要があるのにゼロ金利でじゃんじゃん貸せば、それがバブルに決まってるじゃないか。


ひとつだけ提案させてほしい。何ちゃらターゲティングは須く馬鹿馬鹿しいが、こう標榜するのだ。「資金需要が高まるまで、実質的なゼロ金利政策を継続する」と。もちろん同語反復だ。だがこれなら、「金融面の不均衡」などと注釈は要らないはずだ。妙にバブってカネを借りる奴が出てくれば、そのときには誘導目標を引き上げることを暗示する。当たり前の同語反復を、しっかりと推し進めていけば、日銀の仕事は減ってしまうかもしれない。でも、変な作文合戦をするような組織には、減らして具合よい脂肪があるってのは、皆が知ってる経験的事実なんだ。総裁だって、きっと今日そう感じている。違いますか。残された時間を、悔いなくいこうぜ。