シーゲルのパラドックスを実証する

さて米ドルと日本円の交換レートは、ほぼ3年前の水準に戻ったわけだが、この間、米ドルのエクスポージャを抱えていた日本の投資家も、日本円のエクスポージャを抱えていた米国の投資家も、どちらも利益を得た。


為替レート変化率
半期USD/JPYJPY/USDUSD/JPYJPY/USD
2010/393.460.01070
2010/983.450.01198-10.71%12.00%
2011/383.150.01203-0.36%0.36%
2011/977.040.01298-7.35%7.93%
2012/382.790.012087.46%-6.95%
2012/977.900.01284-5.91%6.28%
2013/394.190.0106220.91%-17.29%
平均0.68%0.39%


お前は何を言っているんだと、為替はゼロサムゲームだぞと、思われる方もいるかもしれないが、よく確認いただきたい。「ドルから見た円」は、単に「円から見たドル」の逆数で、その両者とも、半年のリバランスを前提に割り算してある。それぞれ平均は正である。検算の簡単のために、両通貨の短期金利には差がないものとしたが、気になる方は為替レートも含めて、細かく検証いただいて構わない。もちろん結果には、大きな影響を与えない。


これがシーゲルのパラドックス*1である。驚くべきことに、実在している。外貨建て資産への投資に際して、我々は、必ずしも為替リスクの全てをヘッジ*2しない。なぜなら利益を期待することができるからだ。

*1:http://d.hatena.ne.jp/equilibrista/20090617/p1

*2:後にブラックは、ユニバーサルな均衡ヘッジ比率を発見する