シーゲルのパラドックスを実証する
さて米ドルと日本円の交換レートは、ほぼ3年前の水準に戻ったわけだが、この間、米ドルのエクスポージャを抱えていた日本の投資家も、日本円のエクスポージャを抱えていた米国の投資家も、どちらも利益を得た。
為替レート | 変化率 | |||
---|---|---|---|---|
半期 | USD/JPY | JPY/USD | USD/JPY | JPY/USD |
2010/3 | 93.46 | 0.01070 | ||
2010/9 | 83.45 | 0.01198 | -10.71% | 12.00% |
2011/3 | 83.15 | 0.01203 | -0.36% | 0.36% |
2011/9 | 77.04 | 0.01298 | -7.35% | 7.93% |
2012/3 | 82.79 | 0.01208 | 7.46% | -6.95% |
2012/9 | 77.90 | 0.01284 | -5.91% | 6.28% |
2013/3 | 94.19 | 0.01062 | 20.91% | -17.29% |
平均 | 0.68% | 0.39% |
お前は何を言っているんだと、為替はゼロサムゲームだぞと、思われる方もいるかもしれないが、よく確認いただきたい。「ドルから見た円」は、単に「円から見たドル」の逆数で、その両者とも、半年のリバランスを前提に割り算してある。それぞれ平均は正である。検算の簡単のために、両通貨の短期金利には差がないものとしたが、気になる方は為替レートも含めて、細かく検証いただいて構わない。もちろん結果には、大きな影響を与えない。
これがシーゲルのパラドックス*1である。驚くべきことに、実在している。外貨建て資産への投資に際して、我々は、必ずしも為替リスクの全てをヘッジ*2しない。なぜなら利益を期待することができるからだ。
*1:http://d.hatena.ne.jp/equilibrista/20090617/p1
*2:後にブラックは、ユニバーサルな均衡ヘッジ比率を発見する