なるべく簡潔に「インフレ待望論」に突っ込んでみる

米経済、インフレ待望論 賃金上昇で消費拡大
http://www.business-i.jp/news/bb-page/news/200905220016a.nwc

U.S. Needs More Inflation to Speed Recovery, Say Mankiw, Rogoff
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=auyuQlA1lRV8


どっちみちいつもと同じような内容になるのだが、なるべく簡潔に、なるべく明瞭に書いてみる練習です。出発点はもちろん、インフレーションは2つのコンポーネントの和からなること。需給と信用だ。

インフレ抑制の手綱を緩めれば、負債に苦しむ消費者や政府の債務返済が容易になる。


「インフレ抑制の手綱」ってのは一般に、2つのコンポーネントの後者に働きかける。通貨の信認てやつだ。なのでこれは、政府や中央銀行は無責任になれというクルーグマンの提言と本質的に同じで、そんなの普通に無理だ。委員長が「俺ってちょいワルだぜ?」と吹いたところで、誰もそうは思わないし、もし実際に彼の素行が悪くなれば、委員長は他の誰かに代えざるを得ないだろう。そのとき彼は停学だ。ワル初心者の委員長が悪さの程度をコントロールしようなんて、至難の業に決まってるじゃないか。

これに対して一部のエコノミストは「賃金上昇をもたらすレベルのインフレを目指すべきだ」と主張する。


百歩譲って中央銀行がちょいワルだと皆に認定されたとして、十分な賃金上昇が実現するだろうか?僕はそう思わない。通貨がいまひとつ信用できないから、リスク回避のために自分が販売するものの値段を上げるわけで、どこに従業員の賃金を上げる積極的な理由があるのか。どう考えても、そっちは後回しだろ。結果的に、実質賃金は減少するに違いない。

レバレッジ解消をいかに達成するかが問題。


注目すべき点であることは間違いないが、それが政策によって制御できると考えるところには大きな問題がある。僕が借金を減らしたいと思う気持ちを、どうして政府や中央銀行の口出しで変えられるのか。バランスシートを伸ばしたいと思う意欲は、どこから湧いてくるのか考えてみろ。脅しでそれを実現する社会が、本当に素敵だと思うのか。


あ、読み違えたかな↑、インフレなら借金返せるよって言ってるのか。そりゃまた随分と乱暴な話だな。