最も原始的な賃金モデルを考える

年初に契約する給料は、労働者である彼が、年間に新たに生み出す利益を割り引いたものだ。


{P_0}=\frac{E_1}{(1+r_1)}


r:割引率は、無リスク金利とリスクプレミアムの和で構成されるが、当分ゼロ金利だと思えば、要するにリスク割り引きである。彼の来年の働きなんて、どうやっても予想通りにはいかない。ちょっと安めにしか雇いたくはない。


id:equilibrista:20090416の「最も原始的な株価モデル」と比較してみると一目瞭然なのだが、両者は本質的に同じものだ。


もちろんリスクプレミアムの大きさは、他のリスクとの関係によって決まらざるを得ない。世の中のリスクと無関係なら、具体的には例えば、他の皆が生み出す利益と全く関係のない利益を彼が生み出すのなら、それは雇う側にとって素敵なことなので、ここはゼロだ。給料はすこし多めだ。とはいえ普通はそんなことはない。自分はオリジナルなつもりでも、仕事は周囲に支えられ成り立っている。


株式にかかるリスクプレミアムは、この半年で急拡大したが、賃金にかかるリスクプレミアムも、やはりこの半年で急拡大した。要するに株価も賃金も下がった。そしてそのことは、最も原始的なモデル群を眺める限りでは、極めて自然だ。