短期のトレードと長期投資

株なんて、複雑そうにみえるが、実はすごく単純
誰でもわかるような、安い時に買って高い時に売る
ホント、これを忠実に守ってれば、金は増えてくばっかり


みんな、もうちょっと待てばもっと高くなる、とか、
今は安くなっちゃったけどもうちょっとで戻る!とか
根拠のない妄想してるから、損ばっかりしてるんだよ


おれはこの基本を忠実に守り、2ヶ月で500万を100万にした。


大変シビれる2chコピペで、実に示唆的である。
オリジナルの出典がいつ、どの板からなのか、よくわからないのだが、ご存知の方は是非教えてほしい。


さて不粋だと知りつつも、今日はこれを、すこし細かく見ていきたいと思う。

誰でもわかるような、安い時に買って高い時に売る


よくある言い方だが、これが「高い時に売って安い時に買う」という順序になっているものは、ほとんど見かけない。とすればこれは、暗に「買い」バイアスを示していると理解してよいと思う。


実際に、市場に参加しているトレーダーの多くが、時間軸を平均的に眺めてみれば、「売り」よりも「買い」の方がずっと多い*1状態となっている。


これは、まぎれもない事実である。こうして株価が大きく下落した局面で、そういう連中の元気がよい話をあまり耳にしないことに、皆さんも気づかれるだろう。

みんな、もうちょっと待てばもっと高くなる、とか、
今は安くなっちゃったけどもうちょっとで戻る!とか


ここではヘボい奴の抱く淡い期待として描かれているが、誰もが「買い」に偏っているとき、望まれるのは常に相場の上昇である。「もっと高くなる」であれ「もうちょっとで戻る」であれ、未来に望まれている「根拠のない妄想」の方向は同じだ。株が上がることである。

株なんて、複雑そうにみえるが、実はすごく単純


そう考えてみると、この書き出しが既にシビれる程本質を突いていることがわかる。「ゼロサムゲームだ*2」などと無頼派な勝負師をを気取ってみたトレーダーとて、呑気な鳩派「動かざること山の如し」な連中と大差ない、要するに大局的には、単に株を買って上がるのを期待している構造なのだ。違いはといえば、ゆったりと釣り糸を垂れる太公望なのか、ちょこちょこ仕掛けを変える釣りキチ三平なのか、といった程度である。


誤解してもらっては困るのだが、もちろん三平のアクティブな試みは、時に劇的な結果を生むことだってある。チャレンジを馬鹿にしたくて、僕はこんなことを書いているわけではない。とはいえ釣りの結果の大勢が、天候によって決まってしまうように、株式投資の結果の大勢は、短期のトレードであれ長期投資であれ、単に市場全体の動向によって決まってしまう。


そもそも皆が「買い」バイアスだったことも、これを支持する材料となる*3わけだが、株式はビジネスのための資金調達であったことを思えば、それは特に悪い話ではない。じゃ市場全体の上げ下げは何に依存するのか、というのが次に気になる問いだが、その話はまた別に。

*1:実際のところ、空売りは面倒くさい

*2:つまり実は、全然ゼロサムじゃないのだ

*3:やや循環論法的だが