投資信託の販売会社における比較可能な共通KPI

金融庁による投信の販売会社を比較するための共通KPIなる指標の話だが、数字が出てきて新聞を賑わせている*1ようなので、今更ながらツッコミを入れてみる。


投資信託の販売会社における比較可能な共通KPIについて
https://www.fsa.go.jp/news/30/sonota/20180629-3/20180629-3.html


指標は3つ、大きく分けると2つで、

  1. 運用損益別顧客比率
  2. 預かり残高上位20銘柄のコスト・実現リスク・実現リターン

だそうだ。あー。なんというか、ガッカリしてしまう。


そもそも顧客の損益なんてものは、いつ、どんな商品に投資したかで大半が決まるわけだが、例えば9月に開始して日本株投信のみ売った仮想的な販売会社を想起いただければ―もちろん非常によい成績を残すわけだが―その阿呆くささを即座に感じていただけると思う。それ、よい販売会社と単純に言えますか。


改めて指摘するまでもないが、今後上がるだろう投資信託、今後上がるだろう資産クラスあるいはジャンルを、販売会社が(そして誰にとっても)事前に予測することは極めて難しい。だからこそ伝統的に、例えばGPIFは、あるいは世界中の多くの年金基金は、標準的配分をボケっと続けますと宣言しているわけだ。そのように洗練された、つまり退屈な資産運用を前提に考えるとき、よい販売会社の仕事とはどんなものだろうか。


決まってるじゃん。ちゃんとした退屈な説明、間違えない事務手続き、無難なテンプレート、比較的低コスト、そのへんだろ。顧客の個性的なニーズにはパッシブ気味に応える。


今後上がるだろう投信を予測して、顧客にプッシュして売りまくる、そんな販売を助長してるけど、金融庁さん、これ意図と合ってますか。投機屋的には、商品カテゴリと時期毎に、販売会社を分けたくなっちゃうぞ。