FRBの次の百年

昨日はQEeenイエレンが何か話した*1そうだが、非常にスマートだがカネのことには興味が小さそうにも見えるあたり、やや黒田的にも感じられると思ったわけだが、それよりもプロッサーのこちらが気になったわけです。


Speech: A Limited Central Bank (November 14, 2013) - Philadelphia Fed
http://www.philadelphiafed.org/publications/speeches/plosser/2013/11-13-13_cato-institute.cfm

  • First, limit the Fed’s monetary policy goals to a narrow mandate in which price stability is the sole, or at least the primary, objective;
  • Second, limit the types of assets that the Fed can hold on its balance sheet to Treasury securities;
  • Third, limit the Fed’s discretion in monetary policymaking by requiring a systematic, rule-like approach;
  • And fourth, limit the boundaries of its lender-of-last-resort credit extension.


要するに、1)中銀が目指せるのは物価の安定だけ、2)買うのは国債だけにしようぜ、3)政策のルールを決めよう、4)「最後の貸し手」を乱発するのやめよう、という話で、現在の各国中銀の実際の仕事と見比べて、至極真っ当な内容だ。


真っ当とは何か、なぜ"limit"するのか、途端に変なのが湧いてきそうだが、当ブログの立場から見れば、列挙されたポイントは必然的にやってくる、逃げられない25世紀の姿の一部でもある。簡単に解説したい。わかりやすさのために、ある国に2つの中央銀行と通貨が併存する場合について考えてみてほしい。全米ドルと新米ドルと呼ぼう。


人々は、全米ドルと新米ドルのどちらも財布に入れて使い、どちらも預金を持って互いに振り替える。当然のことながら、より安全で、より高い利息を好む。2)全FRBも新FRBも、資産側に抱えるのは低リスク資産に限られるだろう。あるいは各種ヘッジを伴う。やたらと長い国債やら不動産やら株式やらを裸で持っていれば、その分だけ安全でないと判断され、両ドルを使ってくれる顧客にアピールできないからだ。要するに売られてしまう。このことは自動的に、1)3)4)も同時に担保する。雇用など改善できないばかりか、そもそも構っていられない。ルールもへったくれも、受動的に資産リスクを最小化することしかできない。最後の貸し手なんて役割は、当然負いたくない。

These changes to the institution would strengthen the Fed for its next 100 years.


プロッサーにも注意してもらいたいのは、「べき」だとか、制度デザインだとか、そういう話ではない点だ。繰り返すが、我々は逃げられない。既に、この世界の中に生きている。もちろん決してネガティブな話ではない。全米ドルと新米ドルの使い手としての我々から見れば、状況は劇的に改善している。日常的な決済と預金の安全は、透明と競争によって担保されている。いずれ進む道なら、さっさと進むが吉。蛇足だが、このとき無リスクの金利のようなものを、両ドルの使い手は受け取る*2ことに気づかれるかもしれない。