バー(カ)ナンキの背理法

反例を示そう。

  • 政府は、1000兆円の短期債を発行して、市中の銀行に同額を預金する
  • 銀行は、政府から1000兆円の預金を受け、同額を日銀当座に置く
  • 日銀は、当座預金の残高を1000兆円とし、同額の短期債を買う

1000兆円をn倍しても同じことだが、短期債と市中の銀行、そして日銀当座の金利が同じなら、この取引は三者のソルベンシーに影響を与えない。長期債を売る理由も、銀行株を売る理由も、円を売る理由もない。もちろん無税国家は誕生していない。依然として財政支出には(将来の)税収を必要とする。


マネタリーベースは、リスクを表現しない。あちこちで行われている実際の「量的緩和」と、上記とを比較することで、現在を読み解くヒントを得られる*1わけだが、その話はまた今度。あの店のカウンターで。