いつ企業は合併するのか

長い時間をかけて、興味を持って取り組んできたテーマ*1だが、一人だって企業たり得ることを考えれば、いつ転職するのか、どんなふうに独立するのか、といった問題すら内包する、極めて一般的な内容でもあるわけだ。


再編必要な業界、国が公表…「新陳代謝」で強化 : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130821-OYT1T01461.htm

利益が伸びず、単独では成長が見込めなくなった企業同士の事業を再編・統合する。



政府や切込隊長が、どんなイメージを具体的に持っているのか、もちろんわからないわけだが、最近になって暗いトンネルの先に、ようやく光が見えつつある気がしている。簡単に、自分の道具をメモしておきたい。

三社二様

三つの企業が商売を続けているが、それらが実は、二つの異なる性質の組み合わせから成っていた場合について考えよう。その性質について「自動車ビジネス」「銀行ビジネス」と名付けても、一般性は失われない。

  自動車 銀行
A社  
B社  
C社


このとき、三社のうち二社が合併して合計二社となる組み合わせは、{B+C, A}、{C+A, B}、{A+B, C}、の三つ存在する。どれが実現しても、二社の株式の買いと売りを組み合わせて、二つの性質にかかる見通しを表現する自由は失われない。細かいことを言えば、A社とB社が合併するとC社と同じになってしまうと思われるかもしれない。が、多くの場合、抱える二つの性質の「比率」は異なるはずで、すこし見にくいだけで、買いと売りを組み合わせて見通しを表現することができる。

二社三様

二つの企業が商売を続けているが、それらが実は、三つの異なる性質の組み合わせから成っていた場合について考えよう。その性質について「自動車ビジネス」「銀行ビジネス」「通信ビジネス」と名付けても、一般性は失われない。

  自動車 銀行 通信
A社    
B社  


このとき、銀行ビジネスに対する見通しと、通信ビジネスに対する見通しと、別々に表現することは難しい。一方を買うと、つまりB社の買いだが、他方も同時に買うことになってしまう。一方を売ると、つまりB社の売りだが、他方も同時に売ることになってしまう。なんとかしてB社に分かれてもらって、もちろん双子のように分裂するのでなく、互いに個性を持って離れてもらうことで、三つの異なる性質について、我々のひとりひとりが見通しを表現することができるようになる。

三社三様

三つの企業が商売を続けていて、それらが三つの異なる性質の組み合わせから成っていた場合について考えよう。その性質について「自動車ビジネス」「銀行ビジネス」「通信ビジネス」と名付けても、一般性は失われない。

  自動車 銀行 通信
A社    
B社  
C社  


このとき、各株式の買いと売りを組み合わせて、三つの性質について、我々のひとりひとりが見通しを表現することができる。


ここまで読まれてみていただいて、その「性質」とは一体何だと、疑問に思われるかもしれない。業種の数だけ銘柄があればいいって、随分と乱暴じゃないかと、感じられる方もいるかもしれない。おっしゃるとおりだと思う。例えば同じ自動車でも、大きなそれと小さなそれに、異なる見通しを持ちたい場合だって存在するだろう。例えば同じ銀行でも、大きなそれと小さなそれに、異なる見通しを持ちたい場合だって存在するだろう。我々は、どんな「性質」を取引したいのだろうか。


こんなふうにして、何年か前の話だが、リスクの取引にかかる固有値問題*2について考え始めることになった。我々が取引したい「性質」は、普遍的なもの、移ろいゆくもの、強く大きなもの、できればあった方が嬉しいささやかなものものを含み、市場参加者の総意として、それら自体が常に動いていく。資本家の立場から、未来を探るアクションである。


FOLIO(フォリオ) vol.3

FOLIO(フォリオ) vol.3


さて、FOLIO第三号が出たようです。今回は為替、ちょっと手強い内容だぜ。