「なでしこリスク」プレミアム

さて、こんどは任意の企業が持つ「なでしこリスク」成分について考えてみよう。例えば日産は、日本株で、自動車セクターで、大型で、どちらかといえばグロースで、かつ「女性が活躍している」と思う。先日のベータのスペクトル分解*1を考えるなら、日産に要求されるリスクプレミアムの全体は、そうした日産を構成する様々なリスクに対するプレミアムの和から成ることになる。


β日産 = (i1m1λ1 + i2m2λ2 + ... + inmnλn) / σm2


ここで各λはそれぞれの投資テーマを表現するポートフォリオの分散、各iはそれぞれの投資テーマに対する日産のエクスポージャの大きさ、各mはそれぞれの投資テーマに対する市場ポートフォリオのエクスポージャの大きさである。


「女性が活躍する」スペクトルを取り出してみれば、そのプレミアムの大きさは、1)よりλが大きいほど、つまり「女性が活躍する」テーマのリスクが大きいほど、2)よりmが大きいほど、つまり市場に「女性が活躍する」テーマが目立つほど、3)よりiが大きいほど、つまり日産が「女性が活躍する」会社であるほど、大きくなる。


現在のところ、どれも小さそうだが、つまり「女性が活躍する」会社だからと、日産を買う理由は小さそうだが、こうして考えるきっかけをもらって今日思うことは、ではどのような投資テーマは普遍的で、またどのような投資テーマは流行りもので、それらは一体どのように織り重なって、また解かれていくのだろうか。言い換えれば、モデルは経営のアクションに、何を示唆するだろうか。