浮かんでは消える「なでしこリスク」
経産省と東証が「女性が活躍する」上場企業で指数をこしらえ、投信等に利用してもらって、資金の流入を促したいそうだ。
「なでしこ銘柄」選定へ 女性が活躍する10〜20社 : 日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS25030_V21C12A0EA2000/
あまり役所の仕事とも思えないが、「環境」やら「復興」やらと同じ、要するに「女性」をテーマとした指数と投信である。先日のラガルドさんのコメント*1にも影響されているのだろうか。どんなテーマが市場を左右するのか、誰も事前にはわからないと思えば、思いつく道具はじゃんじゃんつくって、駄目ならさっさと退場するのは摂理みたいなもので、(税金を使うなら尚更のこと)低コスト化と撤退スキームについては考えてほしいものだが、ともあれ僕が気になるのは、実は同じ問いなのだが、こいつは例の固有ベクトルなのかという一点である。
リスクの取引に現われる固有値問題 - 投資の消費性について
http://d.hatena.ne.jp/equilibrista/20120924/p1
「女性が活躍する」投資テーマを表現するポートフォリオは、経産省が選定するような*2企業に対して強い見通しを持ち、他方で同時に
「女性が活躍してる会社」なんてオヤジに選んでもらわなくてもいいから、21世紀にもなって未だにオヤジばっか役員室に座らせて女の子にお茶汲みさせてるダサ会社のランキングでも作れよな。
— TrinityNYC (@TrinityNYC) October 26, 2012
こうしたダサ会社に対して弱い見通しを持ち、両者を併せて大雑把には、下記のような見てくれをしているはず*3と思うが、こうした見方は、市場で存在感を増していくだろうか。
■ ■ ■ ■ ■ ■ 活躍 <--------------------> ダサ ■ ■ ■ ■ ■ ■
投資テーマは、いつでも市場参加者によってつくり出されるものだ。もちろん「女性の活躍」だけでなく、同じように浮かんでは消える様々なテーマの重ね合わせとして、取引可能なリスクにかかる共分散行列は、捉え直すことができる。ちょいちょいとクリックして、銘柄のバスケットすら簡単に扱えるようになった21世紀には、ベタに言うなら、トヨタを買うとかソフトバンクを売るといった判断よりも、それらの組み合わせとして、脱原発を買うとか女性の活躍を売るといった判断の方が、ポートフォリオを考えるための便利な基底になりつつあるとは思われないだろうか。
*1:http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL13060_T11C12A0000000/
*2:その選球眼は一旦横に置いておこう
*3:他の存在感のある投資テーマとは独立と思う