霧の先に続くバランスシート

Fama-French(1992)*1を読みながら、やはりモジリアニとミラーの子なんだと、なんというか要するに、バランスシートを連想した。通常のそれとはすこし違った、どちらかといえば今風のそれだ。もちろん、こんなやつが通常のそれ。

A
L
B

一方で、こいつには載っていないが、株価には見積もられている「将来の利益」は、将来に入ってくるお金と、将来に出て行くお金の差分だと思う。現在価値で書こう。

PV(IN)
PV(OUT)
PV(E)

両者の間で被っていたり、またどちらもが見落とすだろうアイテムが気になったり、時点の差や評価について気になったりされるプロフェッショナルな方々もいらっしゃるだろうが、大雑把に脳内で補正いただくか、または「こう書け」と指摘下さい。さて、両者を合わせてしまおう。

PV(IN)

A
PV(OUT)

L
PV(E)

B

出来た。ペーパーのモデルが扱う変数は、大型/小型を表現する「サイズ」と、バリュー/グロースを表現する「スタイル」だが、前者は右下部分の大きさそのもの(時価総額)に着目し、後者はそれを構成する2つのコンポーネントの比率(B/P)に着目する。左側や右上部分は、とりあえず放っておくことになったが、しかし連中が後回しになるのは、割と腑に落ちる。だって、そもそも右下の変化を説明したいのが株価モデルだ。それ以外の連中は、その評価や所属の問題が、どうしてもフワフワしがちだ。


あらゆる階層の、それぞれのアイテムの大きさは、すべて時間の関数だが、"PV"と霧の先から割り引いてくる連中に関しては、その分母すら時々刻々と変わるので、劇的に(主観的に)動かざるを得ない。それらの総体としての株価の変化を記述しようとするモデルが、より物事に深入りしていこうと思えば、アイテムの細分化の階段を下りていくことになるだろう。そのとき、それぞれの(様々な)リスクに要求されるプレミアムの大きさは、世界の全体との関係で評価されると予言するのがCAPMである。株式としてのそれは、「3つのファクター」の一部ではなく、霧の先に続くバランスシートが内包している各ベータの線型和*2であるはずだ。要するに株式は、リスクのポートフォリオ*3ってわけだ。


というわけで、この論文を読む勉強会は、12/4(土)朝の渋谷です。お前の与太話は脇が甘過ぎると突っ込む若さや、先を見通すフォグランプをお持ちのベテランのゲスト参加を、いつでも歓迎します。