均衡ビジネスユニットを探る

[twitter:@81TJ] さんの「組織における多様性と同質性のバランス」についての記事*1に触発されて、組織と人材、あるいはそのポートフォリオについて考えてみた。それは、以前から常々考えていたビジネス単位のあり方についての問題、我々は合併すべきか否かとか、彼らを独立させるべきか否かとか、そういった判断と、おそらく本質的に同じだ。頑張って自分の道具と言葉で、表現してみたい。


単位チャレンジあたりの均衡マネジメント報酬率EMFは、以下のように表現されるというのが、以前の探検*2から得られた結論だった。


EMF = Sg - ρ⋅Sm


SgとSmは、それぞれビジネスの生むグロス収益と市場ポートフォリオのシャープ比、またρは両者の相関係数である。つまり、そのビジネス単位が生み出す付加価値としての報酬率は、それが世界の全体と似ている分だけ、常に差し引かれるだろうことを示唆していた。


このビジネス単位に、新たに有能な人材が加わる場合について考えてみる。そのとき、おそらく右辺第一項は大きくなるはずだ。彼女だって一所懸命なのだから、追加的に付加価値を生み出すであろうこと、つまりシャープ比の分子を大きくするだろうことは明らかだ。また異能の追加が組織のリスクを低減させる、つまりシャープ比の分母を小さくする場合だってあるだろう。そんなシナジーはいつだって、何よりもエキサイティングだ。


他方で同時に、右辺第二項のうち、市場との相関についても、同時に変化するに違いない。よく「少数精鋭」という日本語が使われるが、組織の規模が大きくなる過程で、それが段々と平凡なものに近づいていく状況を、誰もが一度は体験したことがあるのではないか。加わることによって高まる市場との相関は、その付加価値の一部を差し引いてしまう。クラスや学年の全体が精鋭であることは稀だ。手つなぎオニの最終段階に、興奮など存在しない。


ΔEMF = ΔSg - Δρ⋅Sm


実に明快な結論が得られた。あるビジネス単位が新たなパートナーを探すとき、そのことが引き起こすインパクトは2つのコンポーネントに分けて考えろと、CAPMは我々に示唆している。一緒になることによって均衡マネジメント報酬率を向上させるのは、平凡に近づいてしまうネガティブを上回るほど、収益のシャープ比を向上させることが期待できるときだと言うのだ。我々は、エッジを失ってはいけない。


もちろんこの構造は、組織に加わる彼女の側から見ても、同じことだ。単独で活動を続けるリスクはとても高いが、皆に加わることで失われる個性だってある。たくさんの行動主体が、そうして互いをΔEMFの観点から探りつつ動くとき、世界は全体として、どんなふうに前に進むのだろう。そのときビジネス単位は、どんなふうに分布しているのだろう。


その姿は、今日の僕には難しくて、まだ全然わからない。一緒に探しませんか。月に一度くらい、都内で小さな勉強会をしています。参加の条件?もちろん、ΔEMFを拡大させること。お互いに。いつでも連絡下さい。