CAPMの逆襲(2) - 誰がリスク負担の見返りを払うのか

equilibrista2009-08-08

表が出たら100円を貰うことのできるコイン投げゲームに、いくらでなら参加しますか?


すこし前に、知人に聞いて回ってみたことがあります。クイズじゃなくてアンケートだと言ってるのに、「正解」を探そうとするひとが多くて驚いたのですが、「タダならやるでしょ」「50円以上払うひとは少ないと思う」などと説明すると、それぞれしばらく考えた後に、様々な答えが返ってきました。皆さんならどうでしょう。


多かったのは30円や10円。中には50円やそれ以上、また頼まれても参加しないというひともいました。すこし話してみると、貰える金額が100万円なら、参加料の考え方は違ってくるとか、何度でもやっていいのかとか、イカサマじゃないのか調査が必要だとか、興味深いコメントもたくさんありました。


ビビる気持ちにえいと目をつぶって、そのゲームに30円払って2回参加するとき、合計60円支払うことになりますが、そのうち1回当たって100円が貰えれば、差し引き40円増えることになります。これが、ザ・リスクプレミアムです。


実際には、こんなゲームは存在しません。主催したいと思う胴元がいないからです。30円貰って平均50円支払うんじゃ、割に合いません。じゃ、リスクプレミアムを支払ってでも、資金を調達したいと思うひとはどこにいるのか。


「絶対イケると思うんだ。最低でも五分五分。頼む、出資してくれないか。」


ビジネスチャンスがそこにあると思うとき、イノベーションを起こせると自分を信じるとき、そのチャレンジを実現するために、必要な金を出してくれるひとを探すのが、ザ・資金調達なわけです。が、わかりやすいコイン投げですら、その価格はバラバラだってのに、それも気分で変わっちゃうってのに、投資のリスクの価格なんて、簡単なはずも安定してるはずもないよね。