議決権を流動的に

議決権取引を、極端に容易にしてみよう。面倒なので、そもそも株式と一緒に配ることをやめてしまおう。株式を買って議決権を売った状態は、最初から実現されていて便利だ。議決権が欲しい株主は、カネを出して追加的に買えばよい。


議決権は、会社が広く一般に向けて販売している。株主総会が終わると、来期の議決権の販売を始める。売ったカネは、結局のところ株主の手元に入るので、特に矛盾していない。会社にモノを言いたいひとが、カネを出して議決権を買う。理由はさまざまだろう。


さて議決権の価格は、どのように決まるだろうか。おそらく、その議決に対して期待するリターンを、リスクで割り引いた水準だ。買い手が株主でない場合には、利益は株主から買い手に流出することになるのだろう。もちろん対価として、既に議決権代は支払われている。


この仕組みに、ものすごくおかしいところは指摘しにくい。しかし取引の公正と透明を担保するのは、現時点では難しそうだ。ただ、株主による統治が現状から大きな変化を遂げなければ、いずれ似たような状況は避けられない。


いずれにせよ資本主義は、時間をかけて進化するのだろう。