嬉しさ加重平均

平均的には損なので保険には入るな、みたいな素朴な言説をしばしば見かけるが、なるべく簡潔に、この歴史ある商売を支える構造を記述してみたい。


10回に1度ほど起きる件に対して、支払われる保険金の1/8の保険料を取られる商品について考えてみよう。保険会社から見れば、概ね10件に1度ほど発生する支払いについて、8件分の保険料で賄い、残り2件分で職員の給料を受け取る。契約者から見れば、平均的には

1/10の確率 - 1/8の支払い


つまり保険金の約1/40ほど「損」である。ように見える。しかしながら他方で、事故であれ病気であれ、そうした状況に実際に放り込まれるとき、つらい。つらい状況で受け取るカネは、ふだんの状況で受け取るカネの1.5倍嬉しいと考えよう。このとき契約者から見れば、平均的には

1/10の確率 x 1.5倍嬉しい - 1/8の支払い


つまり保険金の約1/40ほど「得」である。できた。


【問】このケースで「損得」が分岐する、つらい状況で受け取るカネの嬉しさ(倍)を求めつつ、発生確率と料率設定、保険の商品性について論ぜよ。