GPIFの自主運用

要するに役所の仕事を増やす話だが、昭和じゃねえぞで終わる話だと思うのだが、延々とやってるところの社会保障審議会だかの議論は追わずに、新聞だけ*1見てツッコミを入れてるわけだが、ともあれ馬鹿言うなっての。


大体GPIFのマンデートなんて取って嬉しいのは、宣伝用に残高やら顧客リストが欲しい運用機関だけであって、割り算して他の似たような運用と比べてみればわかることだが、やってられねえよ水準の報酬である。プロの話だぜ。にもかかわらず「自炊した方が安くておいしいよ」とか、炊飯器やらフライパンから買うレベルの素人に嘯くのは、道具を売りたい業者だったり、無知で無自覚な高意識だったり、単に山師だったりするわけだが、いずれにせよロクなもんじゃない。


あるいは直接の株式保有によって、政府による企業の支配を懸念する声もあるようだが、(どっちみちコケたら損するのは加入者あるいは納税者という)リスク負担の実態は変わらないにもかかわらず、ガバナンスに何らかの影響を与えるというのなら、その構造の方が普通におかしい。というわけで、この問題は、そもそも自主運用云々とは無関係である。パススルー議決権行使については、以前にこちら*2に書きましたので、是非どうぞ。


またデリバティブズの利用によって機動的なヘッジ、要するに「下がる前に売っておく」的なアクションについても念頭にあるようだが、あのな、そんなの当たらないからやめとけ。より正確に表現するなら、おおよそ五分五分で当たるわけだが、要するにノイズを与えるのみである。運用成績を為替*3に感応させたくなければ、最初から政策アセットミックスのレベルで、ヘッジしておくのがシンプルだ。イズベスト。


そもそも「自主」って文字が気に入らない。お前のカネじゃねえよと。ほとんど因縁つけてるようだが、しかしリスクや損失を負担するのは、年金の加入者あるいは納税者である。おかしいだろ「自主運用」って。自炊で火傷したって、機動的なヘッジ失敗したって、審議会やら有識者は、カネの意味で責任は取れないわけだ。だったら、それぞれの加入者に自主運用*4させろっての。未来に向かって、それ以外に道はないのさ。