今日も元気にマイナス金利

さて、今日も元気にマイナス金利だ。毎日こんな話を書いている気もするが、時事トピックにズバッと斬り込むことは、自分にとって大切な心掛けのひとつで、かつまた楽しいわけです。特に「非伝統的」みたいな冠の付く、お世辞にも成熟しているとは言えない政策アクションについては、皆のコメントが出揃ってから、無難なところをツマミ食いみたいな記事の意味は、希薄というかゼロに近い。どいつもこいつも互いに探り合っているのだから、単に全員でウロウロするだけだ。自分の心と論理に聞く。これ以外に、前に進む道はないのさ。


然るに結構な肩書のセンセイ方が、専門家を自称する連中が、他に何を言ってよいのかわからないのだろう、引用して説明するところの日銀によるQ&A*1が、どうにもヒドい。イールドカーブの起点云々については、0.1%付利のリリースに過ぎないと昨日指摘した*2が、他にも長期国債の買入れについて、こんな記述がある。

Q.長期国債の買入れが困難になることはないのか?
A.マイナス金利分だけ買入れ価格が上昇(金利が低下)することで釣り合うので、買入れは可能と考えられる。(以下略)


お前は何を言っているんだ。この「釣り合う」は、銀行が長期債を日銀に売り渡すとすれば、ペナルティ金利に対して「釣り合う」価格を要求するよと、高く買ってもらうよと、いう話に過ぎない。つまり要約すれば、このアンサーは「頑張ります」と五文字で書けるわけだ。最初からそう書けよ。


もちろん、例えば-10%の預金金利を想像いただければ、この「頑張ります」の意味は、貫徹するなら(本物の)マイナス金利で政府に貸すことだとわかる。なあ、それ本当にできますか。今後の出口に備えて、自己資本を積ませて下さい*3みたいな中央銀行に、おいやれんのか。やれるなら最初からやれよ。という昨日の話なのである。

Q.ゼロ金利部分を適宜のタイミングで見直すとしているのはなぜか?
A.マネタリーベースの拡大(現在の方針は年間約80兆円の増加)に伴って、日銀当座預金残高は、マクロ的に増加していくことになる。こうしたもとで、マイナス金利が適用される部分が適切な規模となるように、適宜のタイミングでゼロ金利が適用される部分を増加させることとした。


ビビってんじゃんか。マイナス金利が適用される部分が適切な規模となるように、つまり「ごめんね銀行ちゃん、ちょっと罰金ポーション縮めるから」とか言って、長期債の買入れが進められるように、マクロ加算残高とかいうサンドイッチの具をチョロチョロいじるよと、最初から逃げてる*4わけです。やるな日銀。


だけどさ、こんなの総裁に会見で読ませるとか、もしや裸の王様的なクーデターみたいな奴なのかと、勘繰ってみたものの、思いのほか似たような指摘は多くない。みんなウンウンとか普通に頷いてる。はっ、もしや。馬鹿にしているつもりが、馬鹿なのは俺の方なのかと。やるな日銀。こんなんで一月も終わりですよ。皆様もインフルエンザやノロウィルスには、くれぐれもお気をつけて。頻繁な手洗いとワセリンで保湿。もうしばらく、冬はこれです。