ロボットによる投資アドバイス雑感

投資みたいな人間くさい行為にテクノロジーが大きな顔をすると、遅かれ早かれ大抵ロクなことにならないものだが、そういう資金調達が妙にウケることもあってか、なぜか流行り気味のようである。本職を自認する分野の一つなのだが、すこし気恥ずかしくなってしまう。


松井証券、ラップ口座参入へ コンピューター対応で割安:朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/articles/ASHCK4D1HHCKULFA00K.html


割安になるのなら素敵なことだと思うのだが、この程度の話に、そもそもロボすら不要なので、コンパクトな記事にまとめたいと考えたわけだ。結論から言おう。一覧をチラッと眺めて、なんとなく気に入った(ような気がする)ものを、いろいろ買おう。それで十分だ。続けているうちに、なんとなく好みは変化するだろうし、量だって調節したくなるだろうが、それらも含めて勘でいい。というか勘以上に頼れるものは、おそらく存在しない。それにロボであれ営業マンであれ、全面的に信頼した結果として損をすれば、腹立たしくて飯も酒もマズい。


みずほ銀行:「SMART FOLIO」ロボ・アドバイザー
http://apl.morningstar.co.jp/webasp/mizuho-bk/simu/


みずほ銀行モーニングスターの合体ロボは、あれこれ最初に根掘り葉掘り聞いてくるが、そもそも年齢やら年収やら知識が、どのように投資に影響を与えるのか与えないのか、定かでない。繰り返そう。若ければ株を買うべきなのか、貧しければ債券を買うべきなのか、定かでない。釣り鐘みたいな絵を見せられて選べと言われても、実感を伴って比較することなんて不可能だし、「二割くらい下がっても耐えられますか」とか、そんなもの質問してくる方が阿呆である。わかるわけないだろ。もちろん、質問項目には含まれないが、しかし例えば不動産や相続や仕事や家族のように、投資の判断に影響を与えるだろう別の事実だって、誰しも抱えている*1はずだ。


で、この手のロボは結局のところ、事前に選ばれたファンドを組み合わせた「パイの絵」みたいな助言をしてくる。わけだが、ぶっちゃけた話、それらのファンドを組み合わせてさえいれば、パイの比率が多少違ったところで、ほとんど運用成績に差はない。どうせ上げ相場なら増えるし、下げ相場なら減る。なんとなく派手さが違うくらいの話である。


より大きな、例えば世界の経済は今後どうなっていくのか、日本の未来は世界が羨むのかイェイ。そんなこと、どうせ誰にもわからない。わかってたら先回りして大儲けなわけで、わからないから誰もがチャレンジする。勘で。それが世界である。せいぜいロボにできる仕事は、このブログの周囲にもあるウェブ広告と同じ、興味を持ってもらえそうな商品を工夫して並べる程度だと、僕は考えている。なので、どうしても相談する相手が欲しいと思ったら、他の分野とまったく同じだが、営業マンにカネを払って「商談」しよう。無料のアドバイザー?それ結局、高くつくぞ。