名目GDP水準目標のカモり方

equilibrista2015-09-26

GDP600兆円の達成を、明確な目標として掲げたいと思います。
そのために、雇用を更に増やし、給料を更に上げて、消費を拡大してまいります。

安倍晋三総裁記者会見(両院議員総会後) | 総裁記者会見 | 記者会見 | ニュース | 自由民主党


「こんなの本当のNGDPLTじゃない」とか最初から逃げてる奴が現れるほど、説得力にも具体性にも欠ける首相の演説には驚くばかりだが、もちろんインフレ目標はロクな結果を生み出していない*1わけで、具体性はともかく説得力など最初から持ちようがなかった。名目GDPの水準を目標に置くプログラム自体は、結構なセンセイ方もプッシュしていて*2笑ってしまうのだが、彼らによれば、政府や中銀が正面から立ち向かうべきは名目GDPの水準である。理由は要するに、そう定義したからだ。


投資だろうが消費だろうが、価格を決めるのは需要と供給であって、それらの総和だろうが、いずれにせよ制御しようとすれば、その弾は投機屋の餌になる構造を鑑みれば、我々としては、広義の税金支払いを最小化し、少なくとも割り勘負けしないための防御として、こうしたプログラムはカモる必要が出てきてしまう。やり方は簡単で、まずこれまでと同様に金融で言えば、貸してくれるってんならカネを借りて、何らかの資産に突っ込む。できれば安全かつ逃げやすいところが望ましいが、世界中で似たような状況を長く続けてきた結果、しかし具合のいいリゾートは減ってきている。


もちろんコインの裏表だが、金融緩和プログラムは奏功していないので、連中は目先をGDPへと移そうってわけだ。シンプルには例えば、えいと公共工事を実行してしまう現実的な選択肢がある分だけ、こちらの方が短期的な制御は容易になる。だとすれば目標が絶対視されるほど、達成が厳しそうだぞと何とかしろと、年度末に向けて無理な状況が生み出されそうなほど、その無理な事業を受注する側に回りたい。金融市場ほどには軽やかに扱えないケースも多いだろうが、うまく実弾を受けることができれば、直接的でサイズも大きい。言うまでもないことだが全体として、こうしたマッチポンプ構造が存在しない場合と比べて、我々は単に資源を無駄遣いする。実に悲しいことだ。