国際金融のトリレンマ2.0

世界中の端末が互いに繋がって情報は行き来し、実際に人や物を移動させるコストも劇的に下がった21世紀に、そもそも「資本移動を制限」しようとしても極端に難しい。百歩譲って、何らかの形で制限できたように見えたとしても、いずれ生まれざるを得ない闇取引と闇レート―もちろん隠れるコストと事故リスクプレミアムの処理は面倒だが―についての理屈は、より暮らしに密着した、我々が積極的に向き合いたい対象じゃないか。

  • 固定相場制
  • 独立した金融政策


で、ジレンマとなった今日のテーマは単に、為替は二国の金利を交換する*1と言っているに過ぎないわけだ。あるいは我々が最近も体験したように、どうしたって誘導目標の変更は、為替に影響を与えざるを得ないわけだし、ドル買い介入したところで金融政策のスタンスが変わらなければ、価格インパクトを与えるのみである。


より大切なことは、我々は、外貨で預金する、その預金を現地で使う、円に戻して国内で使う、また円のまま預金する、といったさまざまな選択肢を現時点で残し、自覚の有無にかかわらず、それらを比較検討して支出する先を決める事実であって、投資も消費も、通貨など軽く超えた一般均衡の中に、既に暮らしている。当然の帰結として、国内のみ「景気を刺激」することなど可能なはずもなく、為替への介入も金融政策も同様に、「国際的な」山師に餌を与える。価格を動かそうとするほどカモられるという、至極シンプルな話だ。