公的年金を確定拠出に

「極めて深刻な事態で、このまま制度を続ければ国の財産が目減りするのは明らかだ。」

民主、厚年基金廃止を本格検討 積立金不足受け
http://www.47news.jp/CN/201207/CN2012071901000954.html


おっしゃるとおりだと思うのだが、もちろん同じロジックから公的年金も、極めて深刻な事態にあると言わざるを得ないわけだ。その財政方式にかかわらず、将来に見込まれる年金支払いの割に、積立金と保険料収入、そして税収が心許ない状況は、経済的には純負債を示唆する。あるいは将来の増税による補填を期待されれば、その運営主体にかかる財政リスクの評価は、どうしても影響を受けざるを得ない。


考えてみると、しかし現在直面する公的年金のリスクは、その多くが人口動態に起因するもので、その調整の難しさが将来世代に皺寄せされてしまう政治的構造は、そもそも素敵とは言えない。それならばいっそ、公的年金が持つ疑似的な「貯蓄」機能と、長生きや障害のリスクにかかる保険の機能とを分離し、前者に関してはタイトルのように、そして後者に関しては民間に任せてはどうか。テクノロジーは、莫大な数の口座を取り扱うことを、既に容易にしている。


もちろん、これまで(概ね)賦課方式で運営されてきた状況から、いきなり多くの人々がそれぞれに積立金を持つ状況に移行させるのは、あまり簡単でない。詳細は以前にも書いた*1が、非常に大雑把には、国債を発行して調達した財源を、(将来の)年金受給者に年金原資として渡してはどうか。長期金利は空前の低レベルで、財務省自身が割に合わない水準と捉え、増税を焦るほどの状況だ。一方で、日銀が買えども買えども、株式市場は呼吸すら聞こえてこない。乱暴だと怒られそうだが、このタイミングで債券による資金調達と、将来に備えた個人による株買いが同時に行われるなら、景気対策としても悪くないじゃないか。自民党界隈で囁かれている刹那的な巨額公共事業よりも、似たような規模だが、いくらかマシだ。


もちろん「自己責任」のための教育と覚悟は必要なのだろうが、そこはホラ、僕も仕事を取りたいわけですよ。読んでますか、厚生労働省の皆さん、民主党の皆さん、いつでも伺いますよ。