財務省のための国債タイミング戦略 - 増税を頑張る前に

一行にまとめるなら、阿呆みたいに低金利なんだから、もっと出しとけという話だが、他方で財政の将来には、財務省の皆さんを筆頭に不安を見る向きも少なくない。なので、もちろん無駄に使っちゃ駄目で、しかし出し手と受け手とで見通しが異なるとき、裁定のチャンスである。だから借りて、貯めておこう。


具体的にどうするかという方法論が、なかなかに悩ましいのは、いかんせん金額が巨大である。兆円単位の比較的安全な貯金といえば、最初に思いつくのは国債だが、そもそも国債を発行して調達した資金を貯めておこうというプロジェクトなので、それで国債を買っては意味がわからない。面倒なので、銀行の預金口座に放っておいて、お前ら頑張れと無責任な丸投げ体制も悪くないかもしれないが、一枚噛ませたところで、おそらく国債に循環するだろうことには変わりない。


円高を問題視し、為替に介入しろと騒ぐ連中も多いが、例えば外国債を買って(必要に応じてリスクをヘッジして)おく形でもよいかもしれない。政府同士の持ち合いみたいで気持ちが悪いが、国債が売られる日が来れば、外国債を売ってその償還に充て、事態の収束を図るわけだ。運命共同体である。あるいは既存の外為特会にかかる負債のデュレーションを延ばしても、効果としては似たようなものだ。


さらに手っ取り早いのは、派生商品を利用したオーバーレイである。先物やらスワップやら何でもよいが、いまのうちに国債を売り浴びせておくのだ。もちろん金を貸してくれている需要側には、揉み手で気を配る必要はあるわけだが、大丈夫、連中にも大義はある。地銀だって生保だって、まだまだ買うのにやぶさかじゃないようだし、よく「相談」しながら。加えて日銀も、怪しいプログラムでじゃじゃーんと貸してくれている。こうして事前に国債を売っておくことで、悪い金利上昇が訪れるとき、手元には含み益がウハウハである。財政リスクをヘッジする方向だ。


特に冗談を言っているつもりはない。資金繰りと支払い余力は、いつの時代も混同されがちだが、毎日が苦しいのに、なぜか安く借りられる不思議な状況なわけで、だったら逆手にとってやれという、民間ではよくある話だ。もちろんリスクは消えずに、単に貸し手に移転されるだけだが、自己責任の21世紀である。どいつもこいつも、肌で学ばなくちゃ。おーこわ。借り手の側が気をつけなければいけないのは、じゃじゃーんと借りて懐に金が入ってくると、つい気が大きくなって無駄に使ってしまう。こう使えば云々だとか、山師だって現れる。うっかり付き合うと面倒なことになるが、これらも民間ではよくある話だ。よく注意しよう。