チャレンジの三角形

全国の啓蒙書ライターの皆様には是非パクっていただきたい、ビジネスのリスクにかかる直角三角形について、ご紹介しよう。とてもシンプルで、きっと示唆に富んで、素敵な酒の席と、そして明日を提供するはずだ。あらゆるビジネスのリスクは、1)市場リスクと、2)独自のチャレンジの、2つのコンポーネントに分解されるが、両者は常に直角に交わっている。図示しよう。

例えばバブルの波に乗って、借金して自社ビルを建てれば、市場リスクの成分が延ばされる形で、ビジネス全体のリスクは拡大することになる。

一方で、本業への投資を上手に拡大させることができれば、そのことは一般に、独自のチャレンジ成分の延長を意味する。

とても大切なことだが、市場リスク成分には、プレミアムが要求されてしまう。ビジネスのリスクの大きさが同じでも、市場リスクと独自のチャレンジの割合が違えば、株価は変わることを示唆する。本業の好不調にかかわらず、土地の値段によって利益が左右されてしまうなら、その分だけ安くなければ、投資する気にならないってわけだ。

融資先の見つからない銀行が、仕方ないので国債を買ったとしよう。このことはもちろん、銀行にしかチャレンジできないリスクから、例えば投信を通じても容易に買えるリスクへのシフトを意味する。このとき銀行の株主は、より大きなプレミアムを要求することになる。つまり株価は下がらざるを得ない。独自のリスクに投資家がプレミアムを要求しないことは、本物のチャレンジャーにとって、この上なく素敵に思えるはずだ。そこで儲かった分は全部持っていっていいぜと、遠慮するなと、彼らは言うはずだからだ。


もちろんこのことは、世界の全体に素敵を引き起こす。だって誰もやったことのない独自のチャレンジを成功させるってのは、潜在的に皆が欲しがっていたものを見つけ、つくり出すことを意味するからだ。もちろん、ビジネスが大きくなるほど、いつまでも独自では居られない。世界の全体は自分を含むのだから、皆に愛され成長するほど、かつてオリジナルだったそれは、市場リスクの成分を帯びてくることになる。隣で見ていた行動の速い連中だって、あっという間に真似を始めるだろう。


チャレンジの全体としての世界は、こうして前に進む。誰にも止められやしない。