課題

このモデルが明らかにする課題のひとつは、そもそもリスクは主観的で、投資家に固有であることについての取り扱いだ。典型的なものとしては、例えば為替。トヨタ株式を構成するリスクは、我々のように日本に住む投資家と北米に住む投資家とでは、当然変わってくる。負債の大きさを計る通貨が異なるからだ。


すべての投資家が負担するリスクの合計は、世界全体のリスクBTWeqであって、見通しのポートフォリオを構成する右辺第二項は、全体としては投資家同士の交換によって互いに打ち消し合う。然るに、そもそもBの認識が主観的なのだから、残高としては必ずしも観察されていないリスクが、世界を構成するパッシブなポートフォリオの中に存在する可能性を否定できないのではないか。


この問題については、具体的には、まだ考え始めたばかりだが、今後長く付き合っていくことになるような気がしている。