貨幣の信用

貸借に貨幣を使うときには、加えて、妙な事情が生じてしまう*1ことがある。時間とともに、貨幣の価値が変わってしまう場合があるのだ。そう、インフレーションやデフレーションと呼ばれるこいつは、主に二つの理由で生じる。一つは、取引の需要と供給によって、消費にかかる価格が上擦ったり、また現在のようにじわじわ下落したりする。このことは日常から自然に理解しやすいと思うのだが、あまり劇的に大きな数字になったりはしないのが普通だ。もう一つ、やっかいなのが、貨幣を発行している中央銀行の信用が左右するそれだ。


こいつは実は本質的に、さっきの「オイ兄ちゃん」と同じだ。返してもらうはずの100円玉が、明日には50円の価値になってしまうと思うとき、200円返してもらわないと割に合わない。いや、わざわざ紛らわしい書き方をしたのだが、要するにそういうことだ。貨幣経済では、待たされる値段には、返ってこない値段によく似た「日銀が駄目になってしまうかもしれない値段」が、あらかじめ混入されている。「日銀が駄目にならないように頑張る」法律まで用意されているのは、そのためだ。

*1:リンゴを使えば生じないが、また別の妙な事情が生じるだろう