個人投資家のための資産と負債の総合管理

将来に支払うお金がそこそこ想定できる機関投資家と違って、個人投資家に特徴的なのは、将来に支払うお金も、将来に受け取るお金も、ほとんどよくわからないことです。したがって、そもそもバランスシートの姿が、さっぱり明らかでない。資産運用は人生の一部に過ぎませんから、まず全体を見据える努力が必要です。

人生の負債

負債とは、将来に支払うお金のことです。明らかなのは、例えば住宅ローンだとか、車のローンだとか、そういう類。しかし例えば、来年に予定している家の改装、定年後に配偶者と地球をぐるっと回る大旅行、好きな土地を見つけて移り住むためのログハウス部品購入、このあたりだって、負債に分類されていいはずです。もっと身近なところだと、明日の朝食代だって。ちょっとだけモダンな考え方ですが、理屈はこの際どうでもいい。とにかく、今後使うお金が人生の負債。そう思って、自分の未来を想像してみる。

人生の資産

これに対応する形で、すぐにお金に換えられるものだけでなく、将来に受け取るお金のすべてを資産と思う。現金や持ち株や自宅だけでなく、この冬に貰うボーナスも、引退後に受け取る年金も、ぜーんぶ資産。明日発表される宝くじ10枚分の評価は難しいけど、そうだな、とりあえず当選金額と確率を掛けてみる。生命保険だって、似たようなもんだ。

人生の純資産

そして資産と負債の差額としての純資産は、人生では、家族への遺産となるはずです。こう思うと、上場企業で言うところの時価総額は、自分で言うところの家族への遺産なのだから、なんて不思議。そしてバランスシートって、なんて素敵なんだろう。ここまで描けてはじめて、リスク資産への投資作戦や、生命保険への加入作戦を考えることができるのではないか。とりあえず、人生のバランスシート概念を表にしてみる。是非ご自身について、もう一度考えてみて下さい。


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引退までの生活費

引退後の暮らし

住宅ローン

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家族への遺産