アフリカに生まれるマネーの未来

通信産業:モバイルマネーの威力  JBpress(日本ビジネスプレス)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/1826

預金口座やクレジット、保険と無縁な数十億の人々にとって、モバイルマネーは正規の金融サービスへの足掛かりにもなる。規制上の理由からM-PESAの口座には利子はつかないが、これを預金口座として利用している人もいる。

モバイルマネーでの預金はほかの蓄財形態より安全で、牛(病気にかかったり、死んだりする可能性がある)や金地金(盗まれる危険がある)、近隣住民との共同貯金(不正の恐れがある)、マットレスに紙幣を詰め込むといった形に伴うリスクがない。


素晴らしい。テクノロジーが人類を進歩させると、こんなにも直接的に響いてくる感動がここにある。今後は利子をつける自由を業者に与えるべきだ。そうすれば無リスクの短期資産として、経済の発展を底から支えることになろう。

モバイルマネーの成長を妨げているのは銀行と規制当局だ。銀行は携帯電話事業者に市場を浸食されることを恐れ、規制当局はモバイルマネーが詐欺や資金洗浄に悪用されることを懸念しているのだ。

事業者が銀行業の免許を持っておらず、街角の小売店のネットワークが正式な銀行支店の厳しい基準を満たさないという理由でモバイルマネーが認められていない国は多い。


実際のところ、こうしてマネーの、つまり信用の自由化が進めば、既得権としての中央銀行業を脅かすだろう。誰も紙幣を使わない社会*1では、紙幣のコントロール権なぞに何の意味も無い。

知見を得た規制当局は、もはや正式な銀行業の厳格な基準を満たすよう求めなくなっている。

一方で、一部の銀行もモバイルマネーを脅威ではなくチャンスと認識するようになり、携帯電話事業者との提携を進めている。


とはいえ豊かさへの意欲は、そんな小さな障壁を簡単に乗り越える。新しい金融テクノロジーは、アフリカから生まれてくるに違いない。これまでの我々のシステムを根本的に覆すポジティブな可能性が、そこにあるようにも感じられる。