CAPMの逆襲(3) - どうして株は上がるのか

株は上がります。このことを確信を持って理解されている方は、どうも思ったよりも少ないように感じられますので、再び強調しておきます。株は上がります。例えば日経平均株価は、いつか必ず間違いなく、10万円を超える日が来ます。


もちろん1万円の銀行預金も、いつか必ず間違いなく、10万円を超える日が来ます。どんなに金利が小さくとも、それがゼロ以下でなければ、預金は増え続けるからです。そして日経平均株価は、おそらく預金よりも早く、10万円を超える日が来ます。


なぜか。株式への投資には、預金よりもリスクがあるからです。リスクがあるのは嫌です。なので預金よりも有利だと判断されなければ、株式に投資する気にはなりません。このことが、リスクプレミアムを生み出します。


リスクプレミアムが、誰もにとって「判断」であり「評価」であるところが、この種の議論の混乱の第一の原因です。皆が「(現在の株価なら預金よりも)有利だ」と思っても、必ずしもそうでないこともあります。皆が「(現在の株価は預金よりも)不利だ」と思っても、必ずしもそうでないこともあります。とはいえ、世界中の投資家が総じて判断を間違い続けることは、むしろ困難です。


株式は、企業の持つ資産や、生み出す利益の区分所有権です。それらは、おおよそ決められたルールに従って報告されます。とはいえ株価は、現在の純資産と、将来に生み出される利益の総和ではありません。投資家は常に、それらを「割り引いて」「少なめに」評価します。その割り引かれた評価は、時間の経過とともに、株価の上昇という形で実現します。これがリスクプレミアムです。株が上がる力の源泉は、ここにあります。


リスクプレミアムは、すべての投資家が向こう見ずになるまで、消え去ることはありません。すべての投資家が向こう見ずになったとき、消え去ります。言い換えれば、すべての投資家が臆病なとき、普段よりも大きくなっているはずです。