GDP成長率と失業率、そして株価の関係

さて、今日も乱暴に大雑把に、とにかく鳥瞰したい。で、GDP成長率ってのは要するにフローの伸びのことだが、最も原始的な株価モデル*1では、おそらくそれは利益と、そして割引率を構成する無リスク金利とを変化させるだろう。どんなふうに変化させるかといえば、分母も分子も増えて、それだけでは株価はさほど変わらないはずだ。


{P_0}={B_0}+\frac{E_1}{(1+r_1)}+\frac{E_2}{(1+r_1)(1+r_2)}+\frac{E_3}{(1+r_1)(1+r_2)(1+r_3)}+...


一方で株価が上昇するのは、将来の利益が思っていたよりも伸びるだろうと判断されるとき、または割引率を構成するリスクプレミアムが縮小するとき、つまり投資家がリスクを許容するようになるときである。


さて、賃金と株価は本質的に同じものだ。だって年初に契約する給料は、労働者が年間に新たに生み出す利益を割り引いたもの*2だ。もちろん企業は彼を雇わないという選択肢もあるのだから、細かく言えば、賃金x(1-失業率)と株価は本質的に同じものだ。


つまり、賃金が伸びたり失業率が下がるのは、労働者の生み出す利益が思っていたよりも伸びるだろうと判断されるとき、または割引率を構成するリスクプレミアムが縮小するとき、つまり企業がリスクを許容するようになるときである。


横軸にGDP成長率、縦軸に賃金や失業率の変化をとったグラフを描いて*3、いきなり直線を引いたりしてはいけない。関係を見出すために最も大切なことは、関係についてよく考えることだ。