長期金利と短期金利

一般に、長期金利は制御が不可能で、短期金利中央銀行が制御することが可能だと思われている。細かく言えば、長期金利には、国債の売買といった介入を通じてのみ、影響を与えることが可能だと。もちろん介入の効果なんてのは、投機家連中に利益の機会を与えるくらいが関の山だ。介入が市場の大きさを超えるとき、そのことを共産主義と定義してもいいかもしれない。


短期金利の制御も、よく考えてみると本質的に、長期金利と事情は同じはずだ。需要と供給が一致する無リスクの金利は、たったひとつしかない。それよりも低い水準に誘導するために、中央銀行が低利で無限に貸し出しをするとき、借りまくるのが世界中の投機家にとって自然だ。需給が一致する水準よりも安く借りられるのだから、普通に運用できれば利益が出る。株を買ってもいいし、原油や金を買う場合もあるだろう。中央銀行はいずれ、原資を確保するのに困る状況に陥るだろう。


実際にはあまりないことだが、短期金利をより高い水準に誘導するために、中央銀行が高利で資金を受け付けるときには、預けまくるのが投機家にとって自然だ。だっておトクだもの。中央銀行はいずれ、運用先を確保するのに困る状況に陥るだろう。


つまり、中央銀行は自分のリスクを用いてのみ、長短金利に影響を与えることができる。そこに無理があると思うとき、投機家にとっては利益をいただくチャンスだ。今はどうかって?チャンスかもしれないし、違うかもしれない。僕が知ってるのは構造だけ。