打ち出の小槌を探し出せ

ヘッジファンドが5月に好成績だそうな。


5月のヘッジファンド運用成績、2000年以来の高水準=米HFR
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-38447920090608

Credit Suisse/Tremont Hedge Fund Index Estimated to Finish Up 3.61% In May
http://www.hedgeindex.com/hedgeindex/en/pressrelease.aspx?cy=USD&DocID=858


既に誰もが実感していると思うのだが、いわゆる「アルファ」戦略は実際のところ、ちっともアルファでない。連中の売り文句を、その額面どおりには受け取れない。こんなふうに、わざわざ別の項に切り出す意味はあまりないのだ。

E(Ri) = αi + βi{E(Rm) - Rf} + Rf


だってそうじゃん。危機になればやられるし、緩和されれば一緒に吹く。要するに、ヘッジファンドもマーケットの一部なのだ。つまりベータで表現される。もちろんここで言うマーケットとは、CAPMの意味での市場、つまり世の中のリスクの全体のことだ。


スプライスを探し訂正しようとする行動は、既に我々の生産の中に不可欠なものとして組み込まれている。例えば「バリュー投資」のように、それが定型化し取引の流動性が高まるほど、そのリスクは分散不可能で、従ってそこにはプレミアムが存在する。


そういう類のリスクの「量」を定義するのは、あまり初等的でない。無意識のうちに我々は、金額でリスクを勘定しているが、デリバティブズやヘッジファンドのリスクを測るのに、投入された円やドルを持ち出すのは、あまり意味がないからだ。


とはいえ、金額が明らかでないからといって、それが市場ポートフォリオを構成しないとは限らないことを、我々は覚えておきたい。打ち出の小槌を探し出そうとする努力は、CAPMの世界観に内包されている。


投資指南の形でいえば、ETFだけ買っておけというのは、わかりやすくてスマートなアドバイスのようだが、ちょっとくらいはアクティブな投資をしてもよいってことだ。大切なのは、いつでもバランス。