日銀の一貫した姿勢

出口政策の情報発信は重要、日本の出口政策はスムーズにいく公算大=水野日銀審議委員
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK029544220090605

中央銀行の信認を確保し、ファンダメンタルズに合致しない長期金利上昇や自国通貨の過度な下落といった潜在的コストを回避するために、その異例な政策の狙い、出口政策等について十分に情報発信をしておくことは重要だ。


ここでいう「ファンダメンタルズ」とは、前述の文脈なら実質金利と需給インフレのことで、つまり通貨リスクプレミアムの拡大による長期金利の上昇や円の下落を警戒しているのだろう。ならば最終的には、無リスク金利を需給の要請する水準まで引き上げることが、自然な「出口政策」になるはずだ。

欧米の長期金利の大幅な変動やポジティブ・サプライズともいえる最近の株価上昇のほか、国際商品市況の上昇といった気になる動きもある。


「出口政策」が行われていない現状では、調達コストは馬鹿安に見えるのだから、借りまくって株や商品へと突っ込もうとするのは誰にとっても自然な行動だ。そのバーゲンセールのコストも、ミニバブル崩壊したときのツケも、いずれにせよ(広義の)税金が払うわけで、これを回避しようと努めるのは、とても大切な彼らの仕事だと思う。

実体経済と金融市場動向に乖離があるとの見方もできるだけに、日本において国債買入れに関する一定のルールは重要だ。


どうやって「実体経済」と「金融市場動向」を見分けるのか、その技術論は彼らがプロフェッショナルであると自負するところなのだろうが、僕にはさっぱりわからない。とはいえシビれるのは、耳障りのよい「緩和しろ」「買いまくれ」との声が外野から飛び続ける中、彼らの行動は常に一貫していることだ。


唯一突っ込みどころがあるとすれば、そこまで徹底して一貫した方針を続けるのなら、既にそれは少なくとも内部ではルールとして確立されているだろうに、優秀な人材と高い給料が、そんなに日銀に必要なんですかってこと。日銀の組織や機能は、いまよりもずっと小さくてよいのではないですかってこと。将来へ向けた日銀の最も大きな仕事は、間違いなく自らの縮小だと僕は思う。