リスクプレミアムターゲティングのすすめ

昨今の金融危機においては、あらゆるリスクプレミアムが拡大している。株式も社債も、不動産も、その価格は低迷に喘ぎ、それらが多くの生産主体のバランスシートを圧迫し、新たな投資や消費を妨げるスパイラル現象を起こしているといっても過言でない。


こういった苦境から経済を回復へ向かわせるためには、政府がリスクプレミアムの水準について、例えば株式であれば年率2%から7%といった具合に、その目標となる範囲を明確に提示し、またこれを実現するために全力を尽くすと宣言し、市場参加者に期待を抱かせることが肝要である。


もともと金融危機は、行き過ぎたリスクの許容である「バブル」が崩壊することによって引き起こされた。政府がリスクプレミアムの適正な範囲を常に明示し、監視および介入を継続することによって、リスクの過小評価ともいえるリスクプレミアムの縮小と、これによるバブルの発生をも未然に防ぐことができる。


具体的な手法としては、(場合によっては中央銀行による直接引き受けも含め)リスク制御国債を発行することによって財源を確保し、ETFおよびこれにかかるデリバティブズの購入及び売却オペレーションにより株式市場価格の調整を行う。必要に応じて、介入する市場は社債および不動産、また人材雇用と賃金市場も含めて、広く視野に入れる。


さらに将来への課題として、当政策の効果と確実性をより高めるために、すべての予測不可能なリスクを事前に中央に一元化し、負担することを検討したい。あらゆる投資のリスク、信用のリスク、不動産のリスク、人材雇用のリスク、また天変地異のリスクを政府が一括して負担し管理することにより、個々の生産主体は付加価値を生み出すことに集中することが出来、その効率を飛躍的に高められることが期待される。


問い)上記の主張のうち正しくないと思われる部分を、なるべく具体的に指摘せよ。