悪性インフレへの道のり

世界中で似たような状況に陥っているが、広義の補助金(主に金融政策のことだが)を出すことで投資や消費を促したが、それらが我々の望むものでなかった*1と省みて、それぞれにバランスシート資産側を見直せば、隠れていたネガティブが次々と表出してくる連鎖を恐れて、再び最初の補助金に戻るというループを、我々は繰り返してきた。


この冬の厳しさも、結局のところ「金融面の不均衡」、要するに株式や不動産価格のカラ騰を懸念したFRBの利上げプランに反応して、小判鮫プログラムの見直しを迫られた我々投機屋が資金を引き上げつつあることが原因であって、だとすれば再びFRBは「利上げを諦めます」と、あるいは日銀は「躊躇なく行動に移ります」と、いつもの散歩道を往復するのだろう。


もちろんインフレの気配など、まったく見えない現在である。どれだけQEやら、あるいはリスク資産買いを繰り出そうとも、FRBも日銀も、先進中銀は揃って、ソルベンシーの意味では、まだまだ盤石*2だ。また新興市場を見渡しても、まちまちながら各国それなりに外貨準備は用意していて、極端にひっ迫した状況には見えていない。


とはいえ、これまで肥やし過ぎてきたとも言える各中銀の懐から、これから何周か例のループを繰り返す中で、徐々に確実にタマは吐き出されていく。ボルカーのような鉄人が再び現れない限り、投機屋を操る富裕層をさらに富裕にするプログラムは、必ずしも我々が望まない世界をつくり上げつつ、政府部門のソルベンシーを削っていくのだ。


与太話だけでは恐縮なので、ついでに長めの投資戦略のヒントも書いておこうと思うが、このような視点から世界を見たとき想起されるプログラムは、もちろんソロスとイングランド銀行だ。すこし遠い未来に向かって、我々が注目すべきは、中央銀行のソルベンシー*3である。そう、通貨を売り浴びせろ!