先物の買いポジションとしてのQE

最近の「量的緩和」は、その名が示すようなサイズの拡大だけでなく、リスク資産の購入を同時に指す場合も多い。短期の資金を調達して、債券や株式を買う格好である。

リスク資産を保有することによる利益や損失は、キャッシュ部分に返される金利と、「先物の買い」に代表される、差金決済による超過分のエクスポージャに分離することができる。

とすれば先のQEは、短期資金を調達し、そのまま短期資金として運用する、リスクの最小化されたバランスと、「先物の買い」ポジションによるリスク運用とに分離することができる。

日銀は現在、負債側に0.1%の金利を払っているが、この水準を資産側で安定的に上回ることは困難である。つまり利鞘*1は存在せず、「先物の買い」ポジションに返されるリスクが、量的質的金融緩和の最大の特徴となっている。