たった2つの産業から成るネバーランドの話

目の前の工業製品が、以前よりも安く売られるようになった話を、今週ビール片手に繰り広げたのだが、どうにも表現力の不足を感じたので、ひとつ汎用的な筋立てを考えて、自分のためにメモしておきたい。たった2つの産業から成る、そうだな例えばコメ農業とコメ流通だけの世界にしよう。


100人が暮らすネバーランドで、50人はコメをつくり、50人はコメを配達している。年収は皆100円で、50円をコメ代として払い、50円を配達に払っている。極端にシンプルだと思われるかもしれないが、拡張は宿題に残しておこう。


ある日、配達組が無人の輸送機を発明した。配達のコストは劇的に下がった。わかりやすさのために、1円未満まで下がったと思おう。50人分の仕事は消え去った。ネバーランドの100人は、全員がコメづくりに携わることになった。1人当たりの労働は、それまでの半分程度にまで減った。生まれた時間は、昼寝や散歩して過ごすことにした。


ネバーランドは豊かになったのだろうか。それとも貧しくなっただろうか。


統計を見てみれば、GDPは半減している。一時的とはいえ、人口の半分が失業者になってしまった。


そのとき取るべきだった施策は、「需要をつくり出す」ことだろうか。